13、ボールを捜せ ページ14
出てきた男の人に案内され、裏庭に出た。
庭に入ると、男の人は、私たちを振り返った。
「僕も一緒に捜そう」
若武が一瞬、黒木に鋭い視線を走らせると、黒木は僅かに頷く。
それから黒木は、私に視線をおくった。
あー、ボール捜せばいいのね、私。
「あの……トイレ貸して貰えますか?」
彩ちゃんは、めっちゃ可愛い顔で、笑いかけた。
めっちゃ可愛い顔、って変態みたいな言い方になったわ。
彩ちゃんが言った瞬間、小塚と上杉が同時に言った。
「 僕も」
男の人は、迷惑そうな顔をしたが、答えてくれた。
「廊下の突き当たりだ」
相当迷惑だよ、私たち。
彩ちゃんたちが、家の中に入るのを見送ると、私はボールを捜し始めた。
正直、捜してるふりをしてるだけ。黒木あたりが、何とかするだろうし。
庭に咲いてる花を眺めていると、若武に叫ばれた。
「花珠、お前ちゃんと捜せよ!」
「はーい」
怒られた。
でも、黒木が合図をしていたので、別に捜さなくてもいいか。
やがて、彩ちゃんたちは戻ってきた。
「あった!」
黒木の声が響き、木々の間から見つけたボールを見せていた。
若武と私は、ホッとしたような息をつき、男の人を振り返る。
「どうもありがとうございました」
若武が、頭を下げたのを見て、私たちも元気に言う。
「ありがとうございました」
加藤家を出た時間は、秀明の特別ゼミに間に合う時間だった。
「よく、ピッタリに見つかったよね」
彩ちゃんが、感心したようにそう言うと、黒木はニヤッと笑って、ボールを上に放り投げた。
「合わせたのさ」
そう、合図を出したのは、ボールを見つけたから。
あとは、合わせよう、という合図。
「あの庭に入ってから、急いでこいつを見つけ出して、隠して置いたんだ。時間を稼がなくちゃ調べられないだろ」
「さてと、」
バス停に向かいながら、若武は私たちを見回した。
「誘拐はあったか?」
すかさず上杉が、言う。
「あった」
彩ちゃんも言う。
「絶対、誘拐されてると思う」
小塚も頷く。
3人が、揃って言うってことは、あるって事だよね。
「理由は?」
「洗濯物が、こどもの分だけ無かったから」
ボールを上に放り投げながら、黒木は言う。
「こどもを、どこかに預けているのかもしれない。田舎とかさ」
確かに、そうなると誘拐はないことになる。
そこで、上杉が静かに口を開いた。
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柚姫 - KZのほかのシリーズも作ってください!応援してます! (2021年6月14日 16時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - 日向飛沫さん» 読んで下さり、ありがとうございます!更新頻度をあげれるように頑張ります (2019年7月29日 15時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
日向飛沫(プロフ) - 何時も読ませて頂いています。更新頑張ってください! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - アオイさん» フリガナ振ってなくてすいません![はなみ]と読みます!コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2019年7月6日 14時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 夢主ちゃんの名字の読み方教えてください!更新頑張ってください!! (2019年7月6日 13時) (レス) id: fd0d6f525d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年5月8日 22時