10、役割分担しよう ページ11
「じゃ黒木、おまえ、住民を当たって、加藤行利もしくは利行を捜せよ。こどものいるやつに限るぜ」
「上杉は、警察に電話をかけて、誘拐の届けが出ているかどうか、聞いてみろ。前の事件のときに、関わった刑事がいただろ。あのひとにこっそり聞けば、きっと教えてくれるよ。それから小塚、雑誌から何か分かったか?」
小塚は、待ってましたと言わんばかりに、雑誌を取り出した。
ありま、バラバラ事件になっておるではないか。
小塚は、すんごい細かく説明してくれた。
ナイフとスケールを使った可能性が高いらしい。そして、それを黒木が捜す。
「それから、とじ込みを剥がしていたら、間からこんなものが出てきた」
小塚が取り出したのは、ティッシュに包まれた、謎の物体だった。
「何だ、それ」
若武は、好奇心で顔を輝かせた。
「接着剤の乾いたものだと思う。でも、本のとじ込みに使われていたのとは違う種類だし、その辺に売ってるものでもない。たぶん、特殊な糊だ。犯人とは関係無いかもしれないけれど、いちおう分析してみるよ。黒木ら糊の成分を表示した商品カタログも、頼む」
「オッケ」
みんなの役割が決められていく。
…私、まだ何も当たってないよね?
つか、もう役割ない。
なんか、私の担当分野って、ないよね。
行動部隊みたいな扱いされてんのかな、若武に。
「上杉、一緒に帰ろ」
「ん」
「どうして、私には役割がまわってこなかったんでしょう」
「……そういや、今回どころか、前もあんまし役割が振られてなかったな」
「いや、1回忘れてたんだけどね」
あれは、申し訳ないと思うけど、ほんとうに今回、私はなんにもしていない。
「なんででしょう」
「…………」
「………………」
「…………」
「ちょ、なんか言ってよ」
「バスケの大会って、いつ?」
「3週間後」
今週は、練習試合が入っていたはず。
土曜日の、午前中と、日曜日の午後。
「それじゃね?練習も、だいぶ詰めてるんじゃないのか」
「うん、そうだね」
「若武、それが分かってて、疲れとか残らないようにしてるんじゃないかな」
確かに、練習はすんごいやってる。
県大会、もしかしたら、最後の大会になるかもしれないから。
「若武って、何気にちゃんと周りみてるよね」
「ああ、そうだな」
……その日は、若武に感謝しながら、ぐっすり寝ることにした。
事件も、大会も、頑張ろう。
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柚姫 - KZのほかのシリーズも作ってください!応援してます! (2021年6月14日 16時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - 日向飛沫さん» 読んで下さり、ありがとうございます!更新頻度をあげれるように頑張ります (2019年7月29日 15時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
日向飛沫(プロフ) - 何時も読ませて頂いています。更新頑張ってください! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - アオイさん» フリガナ振ってなくてすいません![はなみ]と読みます!コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2019年7月6日 14時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 夢主ちゃんの名字の読み方教えてください!更新頑張ってください!! (2019年7月6日 13時) (レス) id: fd0d6f525d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年5月8日 22時