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25、裕樹さん登場 ページ26

次の日、上杉と小塚と駅へ向かった。

既に2人はいて、待っていた。

「黒木、そのボストンバッグは?」

「ん、秘密」

「それより、なんでお前らも来たの?」

「それは……」

言いかけると、黒木以外の3人の動きが止まった。


「すげっ、本物……」

彩ちゃんと、裕樹さんが来たのだ。

若武は、小塚の頭を小突くようにしてお辞儀をさせながら、自分も勢いよく頭を下げた。

「立花さん、こんにちはっ!」


「うぉー、若武元気いいね」

「うっせぇ」

何故か、上杉に叩かれた。

……いつも思うんだけど、なんで私は、小突かれるんじゃなくて、叩かれるの。


裕樹さんは、若武にちょっとうなずいて、言った。


「誰が切符を持ってるんだ?」


本当に、裕樹さんついてきた……。

黒木すげえなぁ。


「黒木が、持っています」

若武が答える。目がキラキラしておるぞ。

「ここにあります」

黒木が、チケットを出しながら、裕樹さんの前に出た。

「でも、お渡しする前にひとつ、お願いしたいことがあるんです」



そう言って黒木は、裕樹さんに何か囁いた。

裕樹さんは、びっくりしたように目を見開き、やがて言った。

「お前、大胆だな」

黒木は、ニヤッと笑った。

「背に腹は、かえられませんから」

裕樹さんも、ニヤッと笑うと言った。

「よし、のった。おもしろそうだ。結果も報告しろよ」



2人は何を話したんだろうか……。

黒木は、ボストンバッグを持ち上げると、裕樹さんと一緒に駅のトイレに入って行った。


「裕樹さん、背高いね」

誰に言うわけでもなく、そう呟く。

みんなに睨まれたのは、知らんぷりした。

……この中だと、私がいちばんでかいのか。

上杉より、ちょっとでかいんだよね。ちょっとだけだけど。


待つこと、およそ10分。

再び現れた2人は、ヘルメットにつなぎの作業服を来ていた。


「お二人とも、お似合いですね」

私が言うと、黒木と裕樹さんは、少し笑った。

「これ、家に持っていっといて」

裕樹さんは、彩ちゃんにボストンバッグを預けると、黒木と共にバスに乗り込んだ。

野村グラウンド行きのバスね。

「おい、黒木っ!」

喚く若武をみて、黒木は手を振って笑った。

「いい結果が出るのを、待っててくれ。じゃね」

若武は、悔しがってた。黒木にリーダーシップを取られた感じがしてたからね。

「あのヤロウ……」


それを見て私達は、

「たまには、こういうのもいいかもね」

と笑っていた。


……結果が楽しみだね。

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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年4月22日 20時

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