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23、犯人の家 ページ24

今日は土曜日。特別クラスの授業がある日。


特別クラスの勉強方法が、私はいちばん好き。

一斉授業って、好きじゃないんだよね。
話聞いてるだけだし、知ってるのを教えられてもつまんないだけ。


今日の特別クラスでは、理科をやった。

理科の、今やっている分野が苦手だから。



……やっべ、眠くなってきた。

「おい、花珠」


ウトウトしてると、彩ちゃんに教えていた江川がテキストで叩いてきた。

「暴力反対」

「居眠り反対」

私と江川のやり取りを聞いて、彩ちゃんが笑ってた。

上杉とかはね、うるせぇ、って言う目で見てきた。


「いつものことだろ、先生。ほっといてもいいんじゃないっすか」

黒木がそう言ったおかげで、江川は彩ちゃんの方に戻った。


……そろそろ真面目にやるかぁ。


授業もあと30分。テキストに向かいあった。







「では、マウンテンバイク盗難事件についての、諸君の報告を聞こう」


……諸君。


「まず小塚から」

「車は、ドイツ、バウアー社ミュウラー。1990年型。カラーはもちろん、深緑だ」

「よし」

若武は、うなずき、彩ちゃんを見た。

「立花、記録しろ」

彩ちゃんが、数学のバインダーを開いたのを見て、若武は口を開く。


「次、上杉。お前の報告は?」


…ん?上杉、なんかの担当だったっけ。


「ビバリーヒルズの26番5号の家の車が、緑の外車だそうだ」


「あ」

思い出した……。そういや、野村グラウンドの時に役割分担したんだった。

見事に忘れていた。彩ちゃんのことばっか、考えてたからなぁ。


「今気づいたか」

「ごめんよ、上杉。今思い出した」

まぁいい、と上杉は話を続けた。


「もし事件後、犯人が車を処分してしまっいても、小塚の言った車の写真を手に入れて、近所の人に見せれば、多分一致するだろう。ハッキリとした証拠だ」

若武は、のめり込むように上杉を見すえた。

「じゃ、26番5号の家に住んでいる誰かが、犯人ってわけだな」

「それは分からないさ」

上杉が静かに答える。

「犯人は別にいて、この家の人間はわ車を貸しただけかもしれない」

黒木が口を挟んだ。

「それにしても、共犯だ。26番5号の家の連中、家族構成は?」

「両親に大学生の息子がひとり。ビバリーヒルズのウワサでは、父親は今年の1月から仕事で大阪に転勤になってわ母親がついて行き、今いるのは息子だけらしい」

それに対して、黒木は目を光らせて言った。

「あやしいな」



……たしかに、あやしい。

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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年4月22日 20時

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