22、彩ちゃん大活躍 ページ23
私は、特別クラスにいた。
「彩ちゃん、来てくれるって?」
「うん!」
良かったぁ。やっぱ、小塚に頼んで正解だったかな。
うん!って可愛すぎかよ。私より、女子力高いね、この子。
「あ、彩ちゃん」
ドアを開けた彩ちゃんに、手を振る。
ここで何もリアクションがないと、困るしね。
「成分表を見せて」
彩ちゃんが言う。少しつっけどんに響いた気がしなくもないが、緊張しているのだろう。
上杉が、彩ちゃんに見せる。
「ここだ」
イスに座った彩ちゃんを見て、私はそこに近づく。
バッグの中から、辞書を出していた。
……国語のエキスパートなら、辞書を引くのも早いよね。
辞書を持ってくるあたり、やっぱ真面目なんだな、と感じる。
最初は、私しかいなかったのに、次第にみんなも集まり始めた。
ここまでくると、さすがに緊張してくるね。こんなに見つめてたら、ドキドキするもん。
やがて、若武が口を開いた。
「おい、まだかよ」
その瞬間、私たちは一斉に言った。
「おい、今なんて言った?」
「だまれよ」
「立花だって、一生懸命やってるだろ」
「待てないんなら、外に出れば?」
そうすると、若武は元気のない声で言った。
「俺、短気だからさ。許せよな」
彩ちゃんが顔を上げていたから、若武の表情も見えたんじゃないかな。
「いいよ」
彩ちゃんは、うなずいた。
「頑張って、早くしろよ」
若武は目を輝かせた。
……素直なのも、若武のいいところだよね。
その後、彩ちゃんは熱心に辞書を引き始めた。
「あった!Die Farben 塗料よ!!」
みんなで、辞書を覗き込む。
「すげぇ!」
若武が、真っ先に言った。
「やったぁ!」
彩ちゃんにハイタッチを求めると、笑って、タッチしてくれた。
……すんごい可愛いぞ、この子。
「まだひとつだけじゃないの。次、いくから」
授業が始まる前までに、彩ちゃんは、その成分表の3分の1を日本語にした。
……さすが、彩ちゃん。
夜の10時半頃、小塚から電話があった。
「もしもし、珍しいね小塚から電話なんて」
「そういえば、そうだね。あ、立花から今電話があってね。成分表、全部日本語にしたって」
「……凄いな、彩ちゃん」
「そうなの。だから、あとは僕が車種を探すだけ。花珠のおかげで、立花も戻ってきてくれたし、事件解決へもいい方向に向かってるよ」
「なわけ。小塚、頑張ってね」
じゃ、おやすみ、と私は電話を切った。
いい夢みれそう。
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年4月22日 20時