15、自転車が教えた ページ15
「小塚、ちょっと」
しばらくして、上杉が小塚を呼んだ。
そして、2人は額を突き合わせ、話し合う。
「……かな」
「いや、それなら、だろ……」
「そうか。じゃ、こういうのは?1部分がかけてるからさ……」
「ああ、それはあるかもしれない。だって…」
すげー、もはや、小学生じゃないみたい……
なんてことを考えてたら、2人は結論を出したらしく、立ち上がって、振り返った。
「僕達の考えを発表する」
なんか、あらたまってて、緊張するわぁ。
小塚が言うと、若武は立ち上がって、腕を組んだ。
「よし、聞こう」
黒木も身を起こす。
「結論から言えよ、その方が早い」
この2人はどこまでやってくれたのかね。
「僕の考えでは、」
そこまで言った小塚は、上杉を振り返った。
あれか、私たちの気迫にやられたか。
「俺達の考えでは、この自転車を盗んだ犯人は、新田町に住んでいる緑色の外車を持った人間で、盗んだ日にはものすごく焦っていたやつだ。そしてその外車は、今、壊れている」
……スゲーな、おい。
みんな、口をあけたまま。
若武と黒木が、どうして分かった?、と聞くと、上杉は自信たっぷりに笑って言った。
「この自転車が、教えてくれた」
……自転車が、教えた。
え、なんか、決めゼリフみたいだった。
すんごい決まってたよ、ちょっと。
「説明するから来いよ」
そう言った上杉の傍に、すぐ若武が歩み寄った。
相変わらず早いな、若武。
みんなが近寄ると、上杉は話し始めた。
「まず、ハンドル、ブレーキレバーのわき、シートチューブ、クランク、フロントフォーク、それからサドル、シートピラー」
指で、順番にそれらを差す。
「よく見てくれ、かなり傷ついているだろう。その傷の中にところどころ、緑色が入っている」
ほんとだ。
「小塚、これらについて説明してくれ」
上杉に言われ、小塚は、自分の手のひらを私たちの前に差し出した。
緑色の、塗料?
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年4月22日 20時