KZと私と＜消えた自転車は知っている＞ (ページ12)

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12、兄弟ってページ12

「ねー、上杉」

「何」

「冷たっ。秀明の近くで強盗が出たらしいよ」

私は、上杉と歩いている。家が近いから、仕方ないのよね。私の家の2件ぐらい隣が、上杉の家。

小学校の時から仲良しですよ。

……上杉がどう思ってるかは知らんけど。

「強盗か。いかにも、若武が食いつきそうな事件だな」

「たしかに。…つか、まじで若武の性格どうにかなんないかな」

「無理だろ」

「んんんん……」

「花珠、家の前だぞ」

気づいたら、家のの前だった。

「あ。じゃ、後でLINEするわ。おやすみ」

「ん、おやすみ」

上杉は片手をあげ、家に帰って行った。

……強盗かぁ。

明くる日、全員が特別クラスに揃うと、若武が勢いよく立ち上がって、みんなを見回した。

「昨日の夜、いい事思いついたんだぜ。新説だ。しかも二つも」

そして、若武は、話し始めた。

1つ目は、昨日の強盗が乗って逃げた。
2つ目は、自転車が特別なもので、スパイが取り返したから。

2つ目に関しては、まんまルパン対ホームズの内容。

……まったく、若武ったら。

最近、若武に呆れてることが多い気がするのは気のせいかな。

黒木は立ち上がり、彩ちゃんを見た。

「立花、いやがらせのセン調査しに行こう」

彩ちゃんは頷いて、私たちを見回した。

「盗難防止用チェーンは、素手じゃとても切れないって、兄が言ってた」

上杉が、一瞬、目を光らせた。

「立花の兄貴って……もしかして立花裕樹？陸上とラグビーやってて、高等部のトップクラスにいる？」

彩ちゃんがうなずく。若武は呆然として彩ちゃんを見た。

「ウソ……」

男子達はそれを聞いて、裕樹さんについていろいろ言う。

結論からすれば、みんな尊敬してる、ってことね。

私は、まず、興味ないから分からん。
よく、上杉に聞かされていたような気がしなくもないけど、聞き流してたんだろうな。

「お兄さんによろしく」

男子達がそう言うと、彩ちゃんは、ガタンと立ち上がって、教室を出て行った。

それに続いて、黒木も出ていった。

「彩ちゃん、気分損ねちゃったね。できる兄って、自慢じゃないのかなぁ」

私は、一人っ子だから、羨ましいけどね。

私が言うと、みんなは、

「自慢だろ？」

って。多分、私たちには分からない何かがあるんだろうね。

「さ、俺らも行こうぜ」

上杉に言われ、小塚と一緒に教室を出た。

作者より

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