審神者は鬼を切れるでしょうか【刀剣乱舞×鬼滅の刃】 (ページ27)

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遡行軍襲撃伍ページ27

全身の毛がサアッ……と、逆立っていく

「みんなは…どこだ」

禰豆子ちゃん
禰豆子ちゃんはどこ
震えがピタっと止まった代わりに、1層冷たい汗が顔に張り付く
俺が…俺が眠りこけて子供を見捨てて走って逃げていた間……みんなは……みんなは何処に……

何処となくぼーっとした気持ちになり、足がふらつく。
ぐるぐるぐるぐる、永遠に続く底の見えない螺旋階段を1人降り続けているような感覚になる
視界に映る、炎と手を取りもうもうと踊り狂う木々達が歪み始める
違う、
探さなきゃ
禰豆子ちゃん、
禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん
禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん
禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん禰豆子ちゃん
気付くと倒れ込むように駆け出していた
音の、する方へ
木箱をカリカリと爪で引っ掻くアノ音がする方へ

ーー
ー

火が燃え広がり山は業火に覆われていた
ふと、1人の鬼が目を覚ました
夢心地の、今にも溶けてしまいそうなとろんとした目で辺りを見回している
木箱の中で頭を強く強く打ち付けて気を失っていたのだろうか
自身が置かれている状況に気付き、困惑1色に染まった表情で素早く木箱から這い出でる
何が起きている────と考える間もなく体が硬直する
足はおろか、顔を動かす事すらできない
そのままガクガクと足が振るえ、顎はガチガチと鳴り涎が竹の隙間から溢れ出す
ぺた……と力を無くして足が折れる
すると目の前に、炎に照らされた一つの影が現れる
最初は小さな影だったが、それは次第に大きくなっていき、やがてその場に座り込んでしまった鬼のすぐ後ろまで迫って来ていた

その大きな大きな影……
振り返るなぞ、できる筈がない
荒い呼吸と役に立たない四肢だけが、今の鬼に残った物だった
鬼の目から大粒の雫が零れる
ぺちん、ぺちん、と涙を零しながら鬼は自分の足を叩く
動け、お願い、動いて、と必死に
1人の鬼が口を震わせながらボロボロと涙を零し、平手で足を叩いているその姿は凄惨その1つであった

大きく……鬼の背のそれが振り上げた
これから目の前に叩きつけるであろうそれと鬼の後頭部との間に───────

雷光が走った