帰るコール ページ17
.
.
仕事が終わって駐車場へと歩きながら、手に持ったスマホをじっと見る。
歩きスマホは危ないからと、度々立ち止まってはロックを解除して、また消して歩くの繰り返し。
一日中「絶対電話しろよ」と言ってた大野さんの顔が、目に焼き付いたように忘れられなかった。
ふわふわした笑顔と突き刺されるみたいに真剣な瞳。
どっちが本当の彼なのか、仕事中そんなことばかり考えていた。
迷惑な歩き方をしながらエレベーターまで来て、電話しなかったって後から責められるのも嫌だし！と腹を決めて電話をかけた。
3回で出なかったら切る！と決死の覚悟で呼び出し音を聞く。
なんでこんなにドキドキしているのか分からない。
チャラチャラした人は嫌いなのに。
強引で馴れ馴れしい人も苦手なのに。
私が好きなのは……。
ほわっとして、とろけそうに目を細めて笑いながら、甘い声で「A」って囁いてくれてた…………。
「もしもし、A？」
昔のことを思い出していたら、突然名前を呼ばれて、はっと現実に戻る。
「あっ……うん……。
えっと、今から帰りますけど……」
「おう。りょーかい。5分で駐車場に行くから！
絶対先に帰んなよ」
「はいはい……」
短い通話を終えて、車の前に着いて運転席に座ろうとしたところで、前から大野さんが走ってくるのが見えた。
朝は何も持ってなかったのに、大きな紙袋を3つと、スーパーの袋を２つ持っている。
フロントガラス越しに目が合って、にこっとされたらやっぱりドキドキした。
「荷物後ろに置かせてね。
はぁーーやっぱ車はいいな」
大野さんはそう言いながら、後部座席に荷物をドサドサっと雑に置いて助手席に座った。
小さなビニール袋だけを持ってきて、ごそごそと開け始める。
「Aはイチゴとチョコどっちが好き？」
取り出されたのは、小さな包みのミニクレープだった。
お饅頭くらいのサイズで、中のクリームの種類がいくつもある、人気のお店のやつ。
「タクシー代のつもりだから遠慮すんなって」
「安っ！100円ですよね？」
「ばっか！108円だわ！
文句言うならやんねーぞ」
大野さんはイチゴの方のビニールを破って食べ始めた。
どっちがいい？って聞いておきながら先に食べるのか！って思いながらエンジンをかけた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1534人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
510kana(プロフ) - さよさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(；Д；)こちら、福岡にあるショッピングモールをモデルにしてます(笑)更新遅くて申し訳ないです｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2018年4月19日 8時) (
レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - さとちさん» 相葉くんほんといつも片思いの役ばっかりでごめんなさい｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2018年4月19日 8時) (レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - いつも心臓を鷲掴みにされ、510kana様が描くお話に夢中なっています。私の生きがいで楽しみです。この碧空ブリーズに出てくるモールが 私が知ってる所にそっくりで^ ^ もしかして…とどきどきしてます（笑） (2018年4月3日 23時) (レス) id: 741ec03a5a (このIDを非表示/違反報告)
さとち(プロフ) - 相葉さーーーん(´；＿；｀) (2018年4月2日 8時) (レス) id: d1a92f5b5f (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - ともさん» お互い同じ人のことを好きで相談しあってたって切ないですよね(´pωq`)愛され主人公しか書きたくないので(笑)これからも好かれます！！(笑) (2018年4月2日 6時) (レス) id: b12cca8c48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：510kana
| 作成日時：2017年12月29日 8時
