77 ページ33
新宿へ向かっていると遠くによく知る長身の白髪の男性を見つけ走っていく。
「悟先輩!!」
名前を呼ぶと今まで見たことが無いほど気力のない彼がそこにいた。消えてしまいそうな先輩の存在を確かめるように抱きしめる。
そんな私をただ見下ろしされるがままの悟先輩を見上げ空虚な瞳を見つめる。
五「…傑に会った。あいつ、術師だけの世界を作るんだと」
「…はい」
力なく垂れていた大きな腕が背中にまわされ包まれる。
五「傑の事殺せなかった。馬鹿みてぇだよな、犯罪者だぜ?」
「犯罪者でも彼は貴方の親友です。…誰が自分の親友を簡単に殺せるんですか。当たり前ですよ」
五「でも俺さ、親友なのにあいつがあんな事考えてるなんか気付かなかった。クソ!知っていたら__」
「…選んだ道がどうかは置いといて、夏油先輩は自分で決め選んだんです。きっと私達が知っていても彼は迷わず進んでましたよ」
五「……だよなぁ。あいつ変に真面目なんだよな。前髪も変だし」
「最後のはノーコメントで。…悟、一緒に帰ろう」
そう言って笑うと彼は瞳を揺らし、私を強く抱きしめたまましゃがみ込む。まるで私に縋るようにいる彼を精一杯抱きしめる。
最強といわれようが彼だって1人の人間だ。
傷つく事だってある。
折れそうになる事だってきっとあるだろう。
そんな彼を私は守りたい。
呪いの発生しない世界も素敵だけど。
私はこの人が泣きたい時に素直に泣ける世界であればいいなと思う。
___
元に戻った悟先輩と手を繋ぎながら帰る道中ふと訊かれる。
五「そういや何でサボった挙句返信しなかったわけ」
「えっと…実は…」
五「はぁ!?」
そう言って経緯を伝えると過去最大級に驚く悟先輩の声が響く。握られている手に力が加わり、もう片方の手で頭を強く掴まれる。
五「何で俺に言わないわけ?」
「いいい痛いです!感知して無我夢中で走ったから忘れてたんです!でも帰ってから言うつもりでした!」
五(硝子より先に会っていた。きっと傑がAを誘き寄せるためにとっといたんだ)
五条は考える。
確かに傑とAの術式は相性が良い。だがそれだけでそんなリスキーな事を傑がやるか?
勧誘したからと言ってAが着いて来ない事も傑だって分かっていたはずだ。
五(どうしてだ?)
瞳を閉じる。
五(…いや今はもういい。疲れた)
それでも隣にAがいるならもういいや。
761人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ - とらこさん、この小説は渋谷事変編は、曲げ欲しいです。後五条悟を封印しないで欲しいです。お願い出来ますか? (2021年6月8日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして!この作品は五条悟オチですよ!頑張ります!ありがとうございます! (2021年5月26日 19時) (レス) id: f672fafd61 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月26日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - 華蝶-Rantyou-さん» ありがとうございます!頑張ります^ ^ (2021年5月7日 23時) (レス) id: 237713bcbc (このIDを非表示/違反報告)
華蝶-Rantyou-(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください^^* (2021年5月7日 22時) (レス) id: 0c2f4f76e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とらこ | 作成日時:2021年5月5日 21時