海の泡になって消えるから -第6章-

Y ページ8

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まるで何事もなかったかのようにみんなで昼食を食べ、太輔とふたりで食器を洗う。

真っ青な顔をしてた裕太は、宮田と一緒に部屋に戻って来た頃には随分と顔色が良くなっていた。
リビングでは末っ子2人に絡まれながらみつが顔をくしゃくしゃにして笑ってる。


平和すぎるこの光景が、まるで夢なんじゃないかと思えて落ちつかなかった。




「太輔…」


『んー？』


「どうする？あの話…」




みつの行方不明事件によりすっかり言うタイミングを失ってしまったけど、真崎航から聞かされた話をまだみんなに伝えられてない。

目の前でニカ達とじゃれてるみつを見ると到底信じられる話ではないけれど、
黙っているのもなんだかその可能性を信じているみたいで嫌だった。





『あの話って？』


「だから、みつのこと…」


『北山の？なんだっけ』






え…？






言いようのない違和感に一瞬頭がフリーズした。

太輔は決して鈍いタイプの人間じゃない。
むしろどっちかっていうといつも注意深く周りの空気を読むタイプで…

だからこそ、今の流れで俺の話が何のことかわからないなんてこと、絶対に考えられなかった。





「たい…」


『あ、ほら見てわた。あっちなんかスゴイことになってるよ』








健永とツイスターゲームでもみくちゃになってるみつを見て太輔が楽しげにクスクスと笑う。


穏やかな表情の中で、その瞳の奥が何かを叫んでるようにも見えた。





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