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S ページ29



散々家中の物を引っ掻き回して、警察が帰った頃には辺りはもう暗くなり始めていた。

宏光は玉と一緒に出かけてたらしく、とりあえず2人は大丈夫だから、と戻ってきた宮田が教えてくれた。

強くなりだした風に混ざってみぞれのような雨が窓にパチパチ当たる。

今夜はまたぐっと寒くなるらしい。朝、お天気ニュースを見た横尾さんが “じゃあ今夜はお鍋にしようかな” 、なんて、楽しそうに冷蔵庫の中を覗き込んでいた姿を思い出した。




たった数時間前のこと。




それなのに、

それが全部嘘だったみたいに静まり返った室内では、ただ一定のリズムで時が通り過ぎるだけ。


なんで、

なんでこんな事に…って、
何度も何度も自分の中で繰り返してみたけど答えなんてどこにもなくて

ただ瞼の中にジワリと熱いものがこみ上げるだけ。







_『ダメだ。繋がんない…そっちは?』




落ち着かない様子の二階堂に続いて、携帯を耳に当てたままの宮田がふるふると首を横に振る。
警察が帰ってすぐに玉と宏光に連絡をしたけれど、どちらともまだ連絡がとれていなかった。


目の前に座るガヤさんの曇った表情に言いようの無い恐怖の色が重なる。
その今にも壊れそうな姿にいてもたってもいられなくて、オレは「2人共、こっち戻ってきてる途中なんだよ」なんて、下手くそなフォローを口にした。

自分でもそれが電話にでない理由になるとは思えないのに、ガヤさんは無理くり捻り出したオレの言葉を噛みしめるように頷いて『そうだね』と微笑んでくれた。

張り詰めた空気の中、固定電話がジリジリと大きな声で鳴る。

弾かれるようにして立ち上がったオレ達の中で、1番近かった二階堂が受話器を取った。





_『もしもし!?玉?ミツ??』





ピンと張った空気の中で、一瞬世界中の音が消えたような時間。




《_俺だ》




遠く受話器越しに聞こえた声に、みんなが一斉に項垂れた。



低くドスの効いた声。聞き慣れたその声に白衣を着た大男の姿が浮かぶ。

先生、と二階堂が泣きそうな声でポツリと漏らした。



『っ……先生、ねぇミツたち知らない?何回も連絡してるんだけど全然_』



《わかってる。話は後だ。とりあえず、今から言う所へ来い。そこに居る全員でだ。住所は_》



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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時

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