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_“宮田、あとよろしくね”
そう言った横尾さんの視線が玄関脇に置いてあるコート掛けに僅かに動いた。
瞬きをしてしまえば見落としてしまいそうなくらいの、ほんとに一瞬。
横尾さんがそこに何かを隠したんだと、直感的に感じ取った。
長年のグループ活動で染み付いたアイコンタクトが、こんなところで役に立つなんて…。
近くにいるはずの玉を探しに行きたいと伝えると、警察は少し渋りながらも意外とすんなりと許可してくれた。オレら全員共犯だと疑ってはいるものの、横尾さん以外にはっきりとした
証拠が出てない以上、オレらの行動までは制限出来ないらしい。
ドクドク鳴る心臓を悟られないようにごく自然にコートに手を伸ばす。オレのコートの右ポケットから何か固いものの感触がした。
いつもの数倍重く感じるコートを素早く羽織り、靴を履く。
振り返ると不安でたまらないって顔した千ちゃんと目が合った。
「千ちゃん…」
オレが呼ぶと、千ちゃんは泣きそうな顔にぎゅっと力を入れて自分自身を奮い立たせるみたいに大きく顔を横に振った。
『…っ大丈夫』
「でも…」
『こっちは、大丈夫だから!オレらで何とかする。だから…』
_“玉とミツのことお願い”
そう訴える強い瞳に背中を押されるようにして、ドアを開けた。
ひんやりとした空気が火照った頬を急速に冷やす。
外には誰もいないのに不意にどこからか見られているような感覚がして背筋にゾクっと嫌な汗が伝う。
視線から逃げるよう大通りを抜け、階段を登り、見慣れた道を進んだ。
正体不明の恐怖に取り憑かれて、よく行く商店街に着いた頃には酷く息が上がっていた。
呼吸を整え辺りを見回すとふと目に入る一件のスーパーマーケット。
この付近では群を抜いて品揃えの良いこの店はいつも一定のお客さんで賑わっていて、今日も陽気な音楽の中買い物中の親子や学校帰りの学生さんなんかが楽しそうに行き交っている。
少しでも多くの人に紛れることが、今のオレには最善のように思えた。
ハットを目深に被り、スーパーへと飛び込む。暖房の効いた店内は暑くて、額にジワリと汗が滲んだ。
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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時