T ページ25
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『うるせーからそいつ早く車に乗せろ。じゃあな。…っ!?』
ガタガタ震えて言う事のきかない腕を伸ばし男の足を掴んだ。
体が熱くて上手く力が入らない。全神経を右手に集中して強く、強く握る。
勝算なんて何も無い。ただ、本能に突き動かされるみたいに、体が動いた。
『こいつ…』
『み…っ…、はな、せ…っ』
上手く呼吸が出来なくて、喉の奥でヒューヒューと音が鳴る。
痛いとかすらよくわからなかった。
頭にあるのはただ、ミツを守らなきゃって、
それだけだった。
『あーもう、ウゼーなこいつ。なんなんだよ』
ガツン、と思い衝撃が頭上に降ってくる。
固い革靴で幾度と無く蹴られるたびに、手放してしまいそうになる意識の中でぼんやりと頭に浮かぶのは、いつものなんでもない光景。
ゲームをしながら子供みたいにはしゃぐニカ千がいて
それにいつのまにかミツが混ざって散らかしまくってワッターに怒られて。
それを優しい顔で時々ちょっと羨ましそうに見てるガヤがいる。
ケタケタ笑う宮田が “何笑ってんだよ” なんてミツに八つ当たりされて、
“なんで玉は良くてオレだけ” と口を尖らせる。
帰りたい、あの場所に。
_『やめろっ!!!』
ミツの声にフッと意識が戻ってくる。
霞みがかった視界の中で、その手に何かキラリと光る物が見えた。
『…玉から離れろ』
『なんだ、一丁前にそんなもん持ってたのか。…で?いまさらそれで俺らと戦おうって?』
小馬鹿にしたような男の口調に動じる事もなく、ミツはそれを自分の首元へかざした。
再びキラリと光ったそれがナイフだとわかって、息が止まった。
『…おれが死んだら困るんだろ?』
『は、出来もしないくせにカッコつけてんじゃねぇよ』
ケタケタ笑う男たちをよそに、スッと静かにその手が動いて、ゆっくりとミツの首から赤いものが滲む。
その行動に、俺だけじゃなく男達も息を飲んだのがわかった。
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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時