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「どうしたの…？具合悪い…？」
ぶんぶんと大きく首を横に振る北山が、きゅっと自分の袖口を握る。
じゃあどうして、と続けたかったのに
薄手のセーター越しに見える華奢な肩がひどく震えているのがわかって
喉が詰まってなにも言えなくなった。
『わかんなかった…』
「え…？」
風の音にすら掻き消されそうな小さな声。
『おまえらの、とこ、行こうとしたけど…道、わかんなかった』
北山は途切れ途切れにそう言うと、更にぎゅっと小さくなって唇を噛んだ。
道がわからない…？
これまでメンバーとはもちろん、1人でも何度も行き来した家までの道のり。
それが急にわからなくなるなんて、普通に考えればあり得ない。
だけど、まるで迷子の子供のように震える北山が嘘をついているとは思えなかった。
大きな瞳からぽろりと一粒溢れる涙。
そのスローモーションのような光景に引っ張られるようにして俺は、気付けばその小さな体を抱きしめていた。
『…っ、ふ、じ、がや…』
触れれば消えてしまう、
そう、覚悟していたのに
今日の北山は消えないらしい。
代わりに伝わってくる通常よりも速い鼓動、熱。
俺の腕の中にすっぽり収まる小さな体からは、ほんの少しの消毒液の匂いと、懐かしい匂いがした。
「ね…帰ろ？」
『…』
「健永とニカがね、北山と一緒にやるんだってツイスターゲーム買ったらしいよ？早く相手してやらないと」
『…ん』
「渉もね、育ててたイチゴがそろそろ食べ頃なんだって。北山に一番に食べさせるんだって、はりきってたよ」
『…ん』
「みんな、北山のこと待ってる。
北山の帰る場所は無くならないよ？
もしまた迷子になったら、俺がまた絶対に見つけてあげる。だから安心して、泣いてていいよ」
グズグズに泣いてるくせに、『泣いてねーわ！』と強がる姿にクスリと自然に頬が緩む。
手を引いて、ゆっくり、歩き出す。
赤くなった鼻が
涙をいっぱいに溜めた瞳が
俺に手を引かれて、ちょこちょこ歩くその足が
繋いだ、その手の温もりが、
俺にとっての、全てだった。
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つーちゃん(プロフ) - ２日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。７人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (
レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます！ (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります！！読みたいです！！頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mini7
| 作成日時：2019年2月22日 1時
