M ページ13
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_ガチャ
『みつー…あれ?宮田、みっちゃん知らない?』
「さっきガヤさんと屋上に行ったよ?」
『あ…そっか…』
…あれ?
ガヤさんと一緒と聞いて喜ぶかと思ったのに
予想に反して横尾さんは一瞬戸惑ったような表情を見せた。
キタミツが居なくなった日から数日。
あの日から、キタミツの隣にはガヤさんがいることが多くなった。
今まであれだけ距離を取っていたのが嘘のように、そっと傍に寄り添い穏やかな表情でキタミツに笑いかけるガヤさん。
そんなガヤさんの変化に、キタミツは戸惑いながらも嬉しそうにしてるのがわかる。
ぐっと近くなった2人の距離感はまるで初恋のような初々しさで、微笑ましくてオレは見ているだけで嬉しくなった。
だけど、
ガヤさんとは対照的にあの日からずっとキタミツをまともに見ようとしない玉のことが気がかりだった。
きっと夜も満足に眠れていないんだと思う。
白い肌に浮かぶクマが日に日に濃くなっていくのが痛々しくて見てられない。
あの日何があったの?って、聞きたいのに聞けない。
_“ごめん、何も聞かないで、ごめん”
そう言って小さく震えていた玉。
玉が何にそんなに怯えているのか、何もわかってあげられない自分がもどかしかった。
「横尾さん…」
『んー?』
キッチンでお昼の準備を始めた横尾さんが蛇口をひねる。
ジャーと水が流れる音が2人しかいない部屋に思ったよりも大きく響いた。
「横尾さんは何か知ってるの?」
『何かって?』
「気づいてるでしょ。玉の様子がおかしいこと」
『……』
横尾さんは本当に嘘がつけない人だと思う。
視線を落としたまま、じっと考え込む眉間の皺が深くなる。
「ねぇ横尾さ」
『…もしもさ、』
「え?」
『もしも、俺が今度しばらく家を空ける事があったらさ』
「?…うん」
『俺の携帯の中見て。ロックは…デビュー日に7が2つ』
「……え、ちょっと待ってなにそれ。てか横尾さんどっか行くの?」
『いや、そういうわけじゃないんだけど、』
「じゃあ何?怖いこと言わないでよ」
『そうだよね、ごめん』
はは、と薄く笑う横尾さんが強制的に話を終わらせるかのように鼻歌交じりで米を研ぎ始める。
取り戻したはずのオレら7人の毎日が
急速に歪み始めているような感覚がした。
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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時