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指差す先には大きなダンボール。ここからじゃ中は見えないけど、何やら尻尾のようなもの
が覗いている。
「あはは、なに?ベンが隠れてんの?」
『ちがうって!あ、ちょ、ニカ待って…!』
「ぅわっ!!!」
_ガタンッ!ガラガラガラ…
急に引っ張られて “やべっ” と思ったと同時に景色が反転して、次の瞬間にはもうお尻から床に倒れこんでいた。
それも周りにあった大量のダンボールを道連れに…
「いっ…てぇー。おい、何すんだよ!」
『ごめん…だって…』
『うるせーぞお前ら。なにはしゃいでんだ』
気だるそうな顔した先生が入って来て、部屋の惨状に目の色が変わる。
「いや先生、これはさ…」
『ぎゃー!いやーっ!!!』
「もーさっきからなんなの!って、うぉっ!!!」
またしても女子みたいな叫び声をあげる千賀にうんざりしながら視線を向けると、その手元に転がったものに今度はオレの方が低い叫び声をあげた。
無造作に散らばった骨や臓器の模型、それに動物の…人形?
鳥やら犬やら猫、それに名前も知らないような生き物まで。
全身のやつもあれば首だけのとかもあって、その瞳がやけにリアルでぞっとした。
『あーあーもう…』
ため息交じりの先生が転がった猫の頭を雑に掴んでひょいと持ち上げる。
『ぎゃっ!』っと小さな悲鳴をあげてオレにしがみつく千賀の爪が腕に食い込んで痛い。
「え…てかなにこれ…」
『ただの剥製だよ。別に噛みつきやしねぇ』
小ぶりなワニをオレらに向けて飄々と説明しながら、先生は大きなダンボールに
それらを戻していく。
「剥製…」
『あ、オレ知ってる!死んじゃった動物の皮剥がして中にオガクズか何か詰めるんでしょ』
『あーまぁだいたいそんなもんだ。ここにあるのはフリーズドライ製法って言って
内臓だけ取り除いて骨や肉は残す手法だけどな』
内臓だけ取り除いて…
目の前の子達を見ながらやけにリアルに想像してしまって気分が悪くなった。
そもそも獣医でもないくせになんでこんなにいっぱい持ってるんだ。
『え、もしかして先生がやったの?』
『まぁ、そうだ。副業ってとこだな』
「副業?」
『世の中には自分のペットが死んだ後もこうやって形として残しておきたい人が結構な人数いるんだよ』
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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時