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「千ちゃん、ケータイは!?」
『ダメ、繋がんない!』
「くそっ…!」
先生からキタミツが居ないと連絡を受けて、
最初に家を飛び出したのはガヤさんだった。
オレらが送り迎えをするようになってからは、キタミツがオレらを待たずに家を出ることなんで一度もなかった。
突如現れた真崎航に、姿を消したキタミツ。
全部嫌な方向にばかり想像が膨らんで、ぞわりと足元が寒くなった。
『もしかしたらこっちに向かってるのかもしれないから俺は家で待ってる。先生から何か連絡あったらラインで流すから』
横尾さんの言葉に頷いて、千ちゃんと二階堂が玄関へと急ぐ。
「わかった!じゃあオレらも行こう、玉」
『……』
「たま…?」
『おい、早くしろよ!』
なかなか来ない俺たちに、焦る二階堂の怒号が飛ぶ。
不意に上がった玉の瞳に胸がどきりと音を立てた。
『玉森、何やってんだよ!』
「っ…二階堂達、先行ってて?オレらすぐ追いかけるから」
再び視線を落とし、テーブルに座ったままピクリとも動かない玉。
横尾さんを見ると、横尾さん自身もどう説明していいのかわからないというような複雑な表情で口を結んだ。
バタバタと去っていく2人の足音が消えて、しんとした静けさが戻って来る。
「……玉?」
『…』
「どうしたの?玉」
俯いたままの玉が、小さく首を横に振った。
真っ白な肌はひどく青ざめて、今にも消えてしまいそう。
その姿は、オレにまた大事なものを失う恐怖を蘇らせた。
「おねがい、言って…?玉、大丈夫だから」
『こわい…』
「え…?」
体の奥から、絞り出すような声。
言い終えてようやく呼吸を取り戻したみたいに大きく息を吸う玉が、その手のひらで顔を覆う。
怖い…?
オレらが警察に疑われてると気づいた時も、
キタミツがクスリの売買に関わっていたかもしれないと知らされた時も、
どんな時も動じることなく誰よりも堂々としていた玉が、こんなにも怯えるなんて…
『…みつ、が…みつじゃなかったら…、どうしよう。宮田、俺…こわいよ』
キタミツがキタミツじゃなかったら…?
到底理解出来ないその言葉の意味に、考えれば考えるほど頭の中は収拾がつかなくなって焦りだけが積もっていく。
震える玉の背中に触れると、その表面はひどく熱かった。
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つーちゃん(プロフ) - 2日間で一気に読み進んだお話。想像のつかない展開にドキドキハラハラ心拍数が上がりっぱなしです。これから真意に迫って行くところですね。7人とって善き解決に向かっていきますよう楽しみにしております。 (2022年7月9日 21時) (レス) id: 51a599cbd1 (このIDを非表示/違反報告)
なぁまま(プロフ) - 面白すぎて、あっという間にここまで来ました。続きが楽しみです。 (2020年10月29日 14時) (レス) id: abc3e4578f (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 1番好きな 作品です。更新を楽しみにしています。 (2020年6月3日 17時) (レス) id: 61ecb5f320 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 更新楽しみにまってます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 168f28a7c6 (このIDを非表示/違反報告)
みつみつべー(プロフ) - 続き気になります!!読みたいです!!頑張ってください (2020年5月7日 22時) (レス) id: d4a37c70fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2019年2月22日 1時