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鈍い音が聴こえて、続いて床にバラバラっと物が広がった。
正面からマトモにぶつかって、四方へと見事に散らばった紙やペン。
そして、それらをポカンとした表情で見つめるみつ。
しん…と時間が止まったような気まずい空気の中、みつはガヤさんと目も合わせないままヘラっと笑った。
『悪い!全然前見てなかった!』
『…っいや、俺が…』
言いかけたガヤさんの言葉を待たずに、みつが床に落ちた物に手を伸ばす。
噛み合わない視線。
続かない会話。
ぼんやり立ち尽くしたガヤさんは何か言いたそうな顔で、薄く口を開くだけ。
あぁもう、どうして_
『あーもう、なにやってんの』
カラカラ笑って、気まずい空気を吹き飛ばしたのはニカだった。
よっこいしょと腰を上げ、散らばった物を一つ一つ拾い上げていく。
そうなってようやく、ハッとした様子のガヤさんが自分の足元に落ちている物に視線を落とした。
拾い上げようと伸びて、触れる直前ピタリと止まったガヤさんの手。
その動きに、オレ達だけじゃなく、みつの視線もガヤさんの手元に向けられた。
ゆっくり、ゆっくり、スローモーションみたいに伸ばされた手の先にあるのは見覚えのある手帳。
少しだけ震えているような指先が触れて、心臓が押し潰されるように苦しくなった。
そうして、長い時間をかけて白い皮の手帳がガヤの手からみつの手へと渡る。
『…はい』
『あ、ありがと…』
そんな2人を見て、ずっと笑顔を崩さなかったニカの顔が一瞬泣き出しそうに歪んで見えた。
この光景を、オレらは知ってる。
少し照れくさそうに、幸せそうに、笑い合ってた2人。
泣きたくなるほど、愛おしい時間。
みつの中から消えてしまった、思い出。
ガヤはみつの横をするりとすり抜けると、部屋を出て行った。
少し伸びた髪で隠れて顔はよく見えなかったけど、きっと泣きたいんだと思った。
あの日と同じように胸にぎゅっと手帳を抱えたみつは、ガヤが出てった後もずっとドアの向こうを見つめていた。
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たいちゃんらぶ(プロフ) - 怯むな!!イケーって思わず言ってしまいました‥( ;∀;)移行後も楽しみにしています♪いつもありがとうございます♪ (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - うにゃっ(*´ω`)たいぴとみっくんのシーン・・相当気になっていたのでココでFside・・キターってなりました‥ワンコのベンちゃんがホントに優しくって良い子で‥今のたいぴには必要な存在ですね(あ‥ベルがヤキモチ妬いちゃうかもww)先生に問いただすたいぴに (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
萩好き(プロフ) - 更新ありがとうございます。また楽しみにしつつ今後の展開も気になります。 (2018年5月29日 18時) (レス) id: ee43c6b79a (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶ様♪コメントありがとうございます(*^^*) 私も千ちゃん語り描くの好きなんです!なんか感情が素直でわかりやすい人だなぁと思うので、ついつい頼りがちです…♪ ただいま続編を絶賛準備中ですので、どうぞ続きもよろしくお願いします♪♪ (2018年5月29日 18時) (レス) id: c0e211fc37 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - てなる千ちゃんはやっぱり可愛いし♪そしてニュースに流れたみっくんの名前についビクっとなってしまいます( ;∀;)真崎君がとった行動にはどんな真意があり何をもたらすのか…もぅ毎回目が離せません。宮玉に救いをっていうmini7サンの言葉にウンウンって頷きましたー (2018年5月28日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2017年10月14日 0時