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『…ふ、じ…がゃ…?』



聞き慣れた少し鼻にかかったその声に、全身の血液がようやく流れ出す。

でも、途切れ途切れに聞こえる声は弱々しく今にも聞こえなくなってしまいそうだった。




「北山っ…、」

『…っは、悪い。ちょっとっ…、のぼせて…洗面台にあるもん落っことしただけ。
も、だいじょぶ、だからッ…』




やめてくれ

そんな苦しそうな声で、まだ大丈夫だなんて言うの?


“大丈夫なわけないだろ”って怒鳴りつけたい気持ちはあっても、今の俺にはこのドアの向こうに行く方法すらわからない。





_『おい、クソチビ』




“北山”ともう一度呼びかけようとした時、背後から聞こえた不機嫌そうな声。

振り返ると、菊池先生が俺の視線を無視して目の前の扉の向こうへと再度声をかけた。




『…薬、飲んだのか』

『………のん…だ…ッ』




ヒュウヒュウと苦しそうな呼吸な合間に北山が答える。



クスリ…?
なんの…




『チッ…。
おい、あんた、悪いけど席外してくれ』


「え…」




何を言われたのか咄嗟に理解出来なくて無言で見つめ返すと、先生は再度 “さっきの部屋に戻ってろ” と告げた。




「…っでも」


『よくある発作だから心配いらねぇよ。こいつアホだから、お前にダッセェところ見られたくねぇんだろ』


「っ……」




わかってる。

俺が居たって何にも出来ないし、先生に治療を任せるしかないって。

だけど…







「……そばに…居たいんです」





自分の一番奥底にあった正直なその気持ちは、口に出すことで俺をもっと悲しくさせた。


情け無い程無力な自分を嘆くのは、これで一体何度目だろう。


先生は一瞬顔を歪めた後、またいつもの飄々とした顔に戻って “落ち着いたら呼ぶから待ってろ” と言った。

軽い口調で話しながらも、先生の瞳はとある緊張感を持って俺に訴えかけてくる。



きっと一刻を争う事態なんだ



そして、

“俺がここにいる限り、この扉は開かない”




全身から力が抜けて、両方の腕がだらりと落ちる。


誰よりも傍で支えたいと願うのに
皮肉にも今の俺に出来る事は、ここから離れる事だけだった。




「よろしく…お願い、します…」



自分のじゃないみたいな声が、宙を漂って消える。

肩に触れた先生の手のひらだけがやけに熱くて、胸の中心がチリチリと痛んだ。



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たいちゃんらぶ(プロフ) - 怯むな!!イケーって思わず言ってしまいました‥( ;∀;)移行後も楽しみにしています♪いつもありがとうございます♪ (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - うにゃっ(*´ω`)たいぴとみっくんのシーン・・相当気になっていたのでココでFside・・キターってなりました‥ワンコのベンちゃんがホントに優しくって良い子で‥今のたいぴには必要な存在ですね(あ‥ベルがヤキモチ妬いちゃうかもww)先生に問いただすたいぴに (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
萩好き(プロフ) - 更新ありがとうございます。また楽しみにしつつ今後の展開も気になります。 (2018年5月29日 18時) (レス) id: ee43c6b79a (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶ様♪コメントありがとうございます(*^^*) 私も千ちゃん語り描くの好きなんです!なんか感情が素直でわかりやすい人だなぁと思うので、ついつい頼りがちです…♪ ただいま続編を絶賛準備中ですので、どうぞ続きもよろしくお願いします♪♪ (2018年5月29日 18時) (レス) id: c0e211fc37 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - てなる千ちゃんはやっぱり可愛いし♪そしてニュースに流れたみっくんの名前についビクっとなってしまいます( ;∀;)真崎君がとった行動にはどんな真意があり何をもたらすのか…もぅ毎回目が離せません。宮玉に救いをっていうmini7サンの言葉にウンウンって頷きましたー (2018年5月28日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mini7 | 作成日時:2017年10月14日 0時

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