F ページ41
・
_あ、
渉達に連絡しなきゃ…
ふと思い立って、反射的にポケットにあるはずのスマホを探った。
みんなきっと俺らが無事に着いたかどうか、ものすごく心配してる…
と、そこでようやく今着ているのが先生が用意してくれてたスウェットだったと気がついた。
「スマホ……お風呂場だ…」
はぁーと項垂れると、膝の上に頭を乗っけたワンコが “まぁまぁ、気を落としなさんな” とでも言うように頭を擦り寄せてくる。
マイペースで、優しいワンちゃん。
「……ワンちゃん。名前なんて言うの?」
_『『ボクの名前はベンジャミンだワン!!』』
背後から聞こえた不自然すぎる裏声にビクッと体が大きく跳ねた。
振り返るとそこには開けっぱなしだった扉の横に寄りかかって真顔でこちらを眺める菊池先生。
「せんせ…」
『『10歳の男の子だワン!ヨロシクな!』』
真顔のまま続けられた変な裏声のセリフに、からかわれているのだとようやく気付いて耳がカーッと熱くなった。
「いっ…いるなら、声かけて下さいよっ!!」
『チビ助は?』
あまりの恥ずかしさに慌てて顔を逸らしたけれど、先生は飄々とした声で何事もなかったかのように続けた。
なんなのこの人、マジ自由なんだけど…
「…まだ、お風呂です」
『なんだお前、頭も乾かさず出てきたのか。バカでも風邪は引くんだぞ?』
清々しい程の口の悪さに、恥ずかしい気持ちも全部どうでもよくなった。
ええそうですよ。バカですよ。
バカだから頭も乾かさないし、何年も隣に居る奴とうまく話すことすら出来ないんですよ。
「…乾かしたら帰ります。色々ありがとうございました」
そう言って立ち上がると、ハァーとわざとらしいため息をついた先生が呆れた顔で窓の方を指差した。
『外、見てみろ。風も雪もとんでもないことになってるぞ。患者用のベット貸してやるから今日は泊まってけ』
外を見れば、俺たちがここに来た時とは比べ物にならない程荒れた風が舞う雪を四方八方に散らしてまるで竜巻のように景色を覆っていた。
・
952人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 怯むな!!イケーって思わず言ってしまいました‥( ;∀;)移行後も楽しみにしています♪いつもありがとうございます♪ (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - うにゃっ(*´ω`)たいぴとみっくんのシーン・・相当気になっていたのでココでFside・・キターってなりました‥ワンコのベンちゃんがホントに優しくって良い子で‥今のたいぴには必要な存在ですね(あ‥ベルがヤキモチ妬いちゃうかもww)先生に問いただすたいぴに (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
萩好き(プロフ) - 更新ありがとうございます。また楽しみにしつつ今後の展開も気になります。 (2018年5月29日 18時) (レス) id: ee43c6b79a (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶ様♪コメントありがとうございます(*^^*) 私も千ちゃん語り描くの好きなんです!なんか感情が素直でわかりやすい人だなぁと思うので、ついつい頼りがちです…♪ ただいま続編を絶賛準備中ですので、どうぞ続きもよろしくお願いします♪♪ (2018年5月29日 18時) (レス) id: c0e211fc37 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - てなる千ちゃんはやっぱり可愛いし♪そしてニュースに流れたみっくんの名前についビクっとなってしまいます( ;∀;)真崎君がとった行動にはどんな真意があり何をもたらすのか…もぅ毎回目が離せません。宮玉に救いをっていうmini7サンの言葉にウンウンって頷きましたー (2018年5月28日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mini7 | 作成日時:2017年10月14日 0時