海の泡になって消えるから -第4章-

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『＿はい、はい。そうですか。
いえ、ありがとうございます』




横尾さんが視線を上げて、オレら1人1人に目を合わせ “大丈夫” って言うみたいに小さく頷いた。

その顔にはふっと安堵の表情が浮かんで、オレらもようやく重い重い息を吐いた。


ヘナヘナと座り込む千賀の肩をポンと叩くと、同時に溢れ出した涙でぐしゃぐしゃになった顔をオレの服の袖で拭う。



おーい！！オレの服で拭くんかーい！

…ってツッコミたいところだけど、今日のところは許してあげる。






『＿はい、そうですか。
いえ、そうして頂けると助かります。すみません。はい、よろしくお願いします』





いくつかやり取りをして、受話器を置いた横尾さんに自然とみんなの注目が集まった。






『…2人は無事に到着して、雪まみれだったから今お風呂に入ってるって』


「そっか」


『え゛っ！！お風呂！？一緒にっ！！？』


『『「……」』』


『え？』




変なとこに食いついた千賀に、その他全員で冷ややかな視線を送る。

まぁ、オレも気になるっちゃ気になるけど、今はそれどころじゃない。





「ガヤはどうするって？」


『先生が、天気もひどいし今晩は太輔もこのまま診療所に泊めてくれるって言ってたよ』


「そっか…」





よかった。

ガヤが戻るというなら、何が何でも迎えに行くつもりだったけど
あの先生、見かけによらず良い人なんだな。






＿『クーン…』



足元をカリカリ引っ掻かれて視線を下げると、オレらと一緒においてけぼりを食らったベルが上目遣いにオレを見つめる。





「大丈夫だよ。ガヤ明日には帰ってくるからね」





少し不安そうな大きな瞳が窓の外へと向いて、頭を撫でるともう一度小さく『クーン』と喉を鳴らした。



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