T ページ26
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『……』
みつしか知り得ない答えを待つ中で、みつが黙ってしまえばおのずと沈黙が訪れた。
ハァとわざとらしくため息をつけば、下を向いたみつが傷ついた顔で唇を噛んだ。
「……どうやって帰るつもりなの?」
『今ならまだ歩いて帰れるから…』
『っいやいや、無理だよ!外見て!
めっちゃ吹雪いてるから!』
必死に訴える二階堂が指差す方を見ると、ついさっきまでみぞれだったのに、少し目を離した間にしっかりとした雪に変わっていた。
『大丈夫。ねぇよこーさん、カッパとかない?』
聞く耳持たずでさっさと荷物をまとめ始めるみつに、なんだか突き放されたような気持ちになった。
なんで?
なんで、そうやって何にも教えてくれないんだよ
心配かけたくないとか迷惑かけたくないとかどうでもいい。
迷惑なんて、かけてくれた方がよっぽどいい。
そうやって、“大丈夫大丈夫”なんて言ってて、いきなり_
いきなり、目の前から居なくなるくせに。
『_送る』
『『「…え?」』』
聞こえた言葉と声の主があまりにも想定外過ぎて、一瞬空耳かと思って視線を上げた。
『送る。診療所まで』
再びはっきりとそう口にしたガヤに、メンバーがみんな目を丸くして固まっている様子を見ると、どうやら俺だけが幻聴を聞いているわけではないらしい。
そしてそんな中でも誰よりも驚いているであろうみつは、クリクリの目をさらに大きく見開いていつもは向けることのない視線を真っ直ぐガヤに向けていた。
「ガヤ…」
『え?え?ガヤさんが?送ってくの??』
『え?まじ?まじなの??』
ハテナマークいっぱいの末っ子2人を尻目に、玄関に向かうガヤをみつが立ち尽くしたまま視線で追った。
『…何してんの、早く』
一向にみつに視線を合わせないままのガヤがそう言うと、ハッとしたみつがためらいながらも小走りに玄関へと向かった。
ワッターがどこからかカッパを持って来て2人に手渡すと、何かを言おうとして飲み込んだのがわかった。
_“俺も一緒に行く”
ただそれだけのことが、みんな喉まで出かかっているのに言えなかった。
昔から、みつとガヤが2人きりになった時は誰一人として立ち入れないような独特の雰囲気があった。
そういう時に俺達が出来ることは、
ただひたすら待つことだけ。
2人が出てった後の扉は、なんだかいつもよりも大きく見えた。
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たいちゃんらぶ(プロフ) - 怯むな!!イケーって思わず言ってしまいました‥( ;∀;)移行後も楽しみにしています♪いつもありがとうございます♪ (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - うにゃっ(*´ω`)たいぴとみっくんのシーン・・相当気になっていたのでココでFside・・キターってなりました‥ワンコのベンちゃんがホントに優しくって良い子で‥今のたいぴには必要な存在ですね(あ‥ベルがヤキモチ妬いちゃうかもww)先生に問いただすたいぴに (2018年5月29日 20時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
萩好き(プロフ) - 更新ありがとうございます。また楽しみにしつつ今後の展開も気になります。 (2018年5月29日 18時) (レス) id: ee43c6b79a (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶ様♪コメントありがとうございます(*^^*) 私も千ちゃん語り描くの好きなんです!なんか感情が素直でわかりやすい人だなぁと思うので、ついつい頼りがちです…♪ ただいま続編を絶賛準備中ですので、どうぞ続きもよろしくお願いします♪♪ (2018年5月29日 18時) (レス) id: c0e211fc37 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - てなる千ちゃんはやっぱり可愛いし♪そしてニュースに流れたみっくんの名前についビクっとなってしまいます( ;∀;)真崎君がとった行動にはどんな真意があり何をもたらすのか…もぅ毎回目が離せません。宮玉に救いをっていうmini7サンの言葉にウンウンって頷きましたー (2018年5月28日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2017年10月14日 0時