海の泡になって消えるから -第4章-

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ワッターが帰って来てほどなくして急に外は暗くなり、みぞれの混じった雨が降り始めた。

ゴロゴロ…とドスの効いた音を響かせて近づいて来る暗雲がこれ以降の天気がもっと酷くなるであろう事を簡単に想像させる。


窓の外を不安そうに見上げたみつの口が僅かに動いたけれど、何を言ったのかはわからなかった。





『うーわ！やっばいよコレ！ワッター危なかったね！』





リビングの窓をほんの少しだけ開けた二階堂が、外の様子を確認してテンション高めに振り返る。





『ほんと、危機一髪だったね！』





二階堂と全く同じテンションの千賀がテレビをつけると、ちょうど午後のニュース番組が始まったところだった。






＿《では、これからのお天気に関してお伝えします！》




やたらとでかいピンクのフワフワのマイクをつけた美人キャスターが、指し棒を天気図に当てて説明を始める。


バチバチと窓を打ち付ける雨音がテレビの音をかき消してよく聞こえない。






「宮田、音量あげて」


『え？あ、ちょっと待って』





宮田がテレビの横についた音量ボタンを操作すると、次第にはっきりと内容が聞き取れるようになってきた。

どうやら爆弾低気圧とやらが日本に上陸して、この後は立っていられないほどの猛吹雪になる可能性があるとのこと。


そんなの、朝のニュースで言ってたっけ？




最近はめっきり少なくなったものの、テレビをつければやっぱり今でも思わぬタイミングで事件の報道が流れる事があるから、みつが居る時はテレビをつけないのがみんなの暗黙の了解になっていた。






＿《では、お出かけの方は十分注意してくださいね♪》




そんな言葉で締めくくられたお天気コーナーは、注意しろという割にやけにのんきな口調だからあまり現実味も湧かなかった。





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