海の泡になって消えるから -第4章-

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＿『んー、ということはつまり、あの日北山さんは病院で奇跡的に息を吹き返し、そして自力で歩いてここまで来たということですね』


どこから持ってきたんだか、ホームズっぽい帽子を被った千賀が吸った事もないパイプ片手にドヤ顔を決める。

どんな時でも形から入るのが千賀スタイルらしい。

長年の付き合いだけど、コイツのやることは時々本当に謎すぎる。

キョトン顔のみつの代わりに大げさにため息をついて、目の前のフザけた帽子を奪い取った。




『あぁーっ！！』


「…いやいや、ここまで何キロあると思ってんだよ。車でも2時間以上かかったんだぞ」


『ちょっと！返してよ！それ！』


「それに！せっかく助かったのになんでわざわざ病院を抜け出す必要があんだよ」


『え？ん〜…それは……、なんでだろ…？？』


「はぁ…」





みつと千賀と3人、改めて事件についてわかってる事ををまとめてみようと話し出したまでは良かったものの、

さっきからずっとこの調子でちっとも話が進まない。

当然みつはなにも覚えていないし、事件前後の情報とはいっても、それらは本当に事件に関係しているかどうかすらわからない程度のものばかり。

さっそく行き詰まった推理に千賀のふざけた格好が容赦なくイラつきを上乗せしてきて、手に持った帽子をキッチンカウンターの向こうに放り投げた。






『あーーーーっ！！』


「はぁ…もういーよ。なんちゃってホームズは引っ込んでろよ」


『なっ…！じゃあ何！？ニカはどうやって宏光がここまで来たと思うの！？』



＿《グゥ》



「え、そりゃーあれだよ。誰かが病院からみつを連れ去ったんだろ」


『誰が！』


「んー…それは、みつの命を狙ってたヤツとか」



＿《グゥゥゥ…》



『へぇー。みつを殺そうとした犯人が、わざわざ瀕死のみつを病院から誘拐してそんでわざわざ診療所の前に転がしてったの？親切な犯人だねぇ』


「っ！殺そうとしてた意外にも何か他に目的があったのかもしれないだ＿」


＿《《グゥゥキュルルル…》》





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