海の泡になって消えるから -第4章-

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“よこーさんこの後ひま？メシ行こーぜ！！”


そういえば、みつはよく俺のこともご飯に誘ってくれた。

“いいよ” っていうと、顔をくしゃくしゃにして嬉しそうに笑う。



そんなみつを見ると、少しだけ自分が許されたような気持ちになってたっけ


みつを孤独にしたのは自分のくせに…






『…その時な、こうも言っててん。
“でも大事な人が寂しそうにしてるのは、1人でメシ食うよりももっとヤダ” …って』


「…っ！」


『あの時はコイツなんの話してんのやろって思とったけど…横尾くんの事言ってたんやろな。
でも、アホやなぁ。そんな極端な方法しか思い浮かばんなんてな』





ふふ、と緩やかに笑う大倉くんに、俺は少しでも口を開けば泣き叫んでしまいそうだった。



俺は弱い。どうしようもなく。


いつだって周りから自分がどう思われているか、不安で仕方なかった。

あの日理不尽に責めた俺をみつはどう思ってるんだろうって、ずっと気になってたのに確かめる事が出来なかった。


みつはいつだって、大きな優しさで俺を待っていてくれていたのに。





『横尾くんがどう思ってたとしても、横尾くんはあいつにとっては“大事な人”やねん。
そんな君が、そうやって苦しみ続けることをアイツは望んでない。絶対に』





何も言えず、歯を食いしばったままウンウンと首を縦に振った。


大倉くんの暖かい手が頭にポンポンと触れて、ダムが決壊したように涙が溢れた。



いつだったか、同じように頭に触れた温もりを思い出した。


＿“よこーさんはほんと、不器用だなぁ”



そう言った、俺よりもずっと小さいのにずっと大人な優しい笑顔。





ねぇ、今からでもまだ、取り戻せるかな。


もう二度と、寂しい顔なんて見たくないんだ。




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