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哀憐 ページ7

右腕を掴んでいた土方さんの力が弱まっていく。




土「住む家も金もねぇなら働けば良いじゃねぇか。甘えんな」


「このご時世、働くためには住所が必要なんです。
住所がない私はどこでも拾ってもらえなくて…」


沖「それで宿代飯代タダの刑務所に入ろうとしたと」


「自分でも馬鹿なこと考えてるってのは分かってます。
でももうこれくらいしか思いつかなかったんです」


近「そもそも、なんでそんな状況になっちまったんだ?」


「…家を追い出されました」


山「そりゃなんでですか?」




1番言いたくないところを掘り下げられてしまう。

でももう二度と会わないであろう方々。
もういいか、諦め半分でそっと口を開いた。




「…私が、妾の子だからです」




そう発した瞬間、また右腕に力が入った。

驚いて土方さんを見上げるとバチッと目が合う。

さっきまでの怒りを露わにした目とは思えない程に、切なげに揺れていた




土「…そいつァどういうことだ」


「話せば長いですよ。3行で収まりませんけど聞かれます?」


土「いいから話せ」




さっきまであんなに怒っていたのに、その声は余りにも弱々しい。

掴まれていた右腕はそっと解放された。

揺れる瞳を見ていればこの人の前では誤魔化すことは出来ないと、何故だか心が締め付けられた。




「……8歳の時に母が亡くなって父の家に引き取られました。
でもそこでの生活は良いものではなくて…

ろくに外に出してもらえず勉強も教えてもらえず、奴 隷のように扱き使われる毎日で世間のことなんて全く分からないのに…

20歳になった夜に、「成人したなら出てけ」と言われて一文無しで追い出されてこのザマです。

あの家に居た人間は皆、目障りな妾の子を早く追い出したかったんでしょうね」


近「そうか…」


「どんな事情であれ、私が皆さんに嘘をついて大迷惑をかけたということには変わりないです。本当にすみませんでした。」



これでもかと言うほど深く頭を下げてドアへと向かう。

あぁ、住む場所どうしよう。また行く宛が無くなった。
絶望していると、ちょっと待て。と引き留められた。

強硬→←慚愧



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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー!応援ありがとうございます!!! (6月4日 21時) (レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です!土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年4月9日 23時

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