言葉 ページ43
「本当に大変な戦いだったんですね。なのに私は…」
何もできなかった。
皆が身命を賭して戦っている間、私は無事を祈って帰りを待つことしかできない。
そんな気持ちを悟られたのか、近藤さんに肩を掴まれた。
驚いて見上げればお日様みたいに温かい笑顔がある。
近「Aちゃんが居たから野郎共はやる気出したんだぜ。
戦前なのに帰ったら美女の膝枕が待ってるっつって盛り上がるのなんのって…」
沖「そーそー。土方さんがンなことさせるかって叫び散らかしてやしたが」
近「トシはなぁ、Aちゃんのこと大好きなんだよ。
妹みたいにいつも気にかけてな」
沖「鬼が妙に肩入れするから気持ち悪いったらありゃしないですけどねィ」
近「コラ総悟」
近藤さんはぽかりと沖田さんの頭を叩いた。
いてっ。と頭を摩る彼は何だか不服そう。
近「トシだけじゃねェぜ。Aちゃんが来てから隊内が以前より明るくなった。Aちゃんがよく笑うから野郎共もつられて笑っちまうんだ」
沖「それに色気付く野郎が増えたぜ。毎朝髪セットしちまってよ」
近「そうさなぁ。Aちゃんの存在があるだけで助けられてる奴も多いんだ。だから「自分は何も出来なかった」なんて気に病まないでくれ」
私の存在を肯定してくれる言葉に涙が止まらなくなる。
父に、継母に、兄弟にかけられた言葉の全ては私を傷付けるためにあるものだった。
「家では誰からも必要とされてなかったから、
こんなこと言われるの初めてで嬉しいです。ありがとうございます」
沖田さんはスカーフを外してぼろぼろと泣く私に渡してくれた。
近藤さんは優しく背中を摩ってくれる。本当に優しい方達だ。
沖「土方さんが起きた時にAが泣いてちゃ俺達が責められちまう」
近「トシが起きた時は笑って迎えてやってくれ」
「っはい」
ぐすぐずと鼻を啜りながら頷けば近藤さんは困ったように笑っていたのだった。
近「Aちゃん。今晩はトシの付き添い頼めるか？」
「はい。皆さんお疲れでしょうしゆっくり休んでください」
沖「すまねェな」
ふらふらと歩く2人に頭を下げる。
「土方さん…」
情けない自分の声。ぼたぼたと目から流れる涙。
土方さんが起きた時に笑顔で迎えたいから今夜だけは泣きたいだけ泣こう。
今だけは許して下さい なんて誰に許しを乞うているのかも分からないけど、そんなことを思いながら1人月夜に照らされ、涙を流すのだった。
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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます！！嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー！応援ありがとうございます！！！ (6月4日 21時) (
レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です！土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氏兎 | 作成日時：2023年4月9日 23時
