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愛嬌 ページ39

ふらふらの沖田さんに肩を貸して歩くこと数分、
なんとか彼の自室まで辿り着く。




「布団敷きましたよ〜はいお布団入って」




寝間着姿になった沖田さんに掛け布団を首元まで上げると、真っ赤な顔と目が合う。




沖「悪ぃな、迷惑かけちまって」


「沖田さんがこんな素直になるなんて明日は槍が降るね」


沖「うっせェ。元気出たらお望み通り槍降らしてやらぁ」


「暗殺するのは土方さんだけにしてください」




くすりと笑って言えば、沖田さんの口元が弧を描く。

部屋まで戻る途中に手に入れた氷枕を沖田さんの首の下に敷いた。




「最近忙しくしてますもんね。近く大きな粛清があるから準備の為って土方さんが言ってた件ですか」


沖「まぁそんなとこでィ。ったく情けねェや」


「お仕事頑張ったからですよ、はいヨシヨシ」




いつもの癖でやらかしてしまった。

頭を撫でられた沖田さんは目を丸くしている。




「…………あ、ごめんなさい
他の隊士さんにする癖で……」


沖「熱が出てなけりゃぶっ飛ばしてた」


「怖ぁ〜〜」




ぶっ飛ばされないうちにさっさと退散しよう。




「安静にね」


沖「わァってる」




なんだかいつもより幼く見えて不思議な感じがした。





# Side S




「何かあったら連絡ください」と言い残してAは部屋を出た。



…彼奴の最初の印象は、世間知らずで頼りなくて年上らしくねェ年上の女。

過ごしてみりゃ意外と揺るがねェ芯を持ってて、
意外と年上らしい面倒見の良さもある女だと気が付いた。


頭を撫でられる感覚が、暖かさが、何処か懐かしくて心地良い、
なんて柄にねェことを思っちまったのは間違いなく高熱による意識の混濁のせいだ。


1人になった部屋がやけに静かで居心地が悪く、出てったばかりのAに「喉乾いた、あと冷えピタ」なんて連絡を入れちまうのは体調不良による孤独のせいだ。




「早速ですね、もしかして寂しくなりました?」


沖「ンな訳ねェだろ」


「高熱の時って孤独感じますもんね」


沖「人の話聞け」


「ふふっ、すみませんしんどいのにツッコませて」




最近他の隊士らがAの所に集まる理由が理解出来た。

裏表を作れない素直な性格、鈴のような笑い声、居てて居心地が良い。




沖「看病の礼に今度団子奢ってやらぁ」


「やった!じゃ早く治してくださいね」




そう笑う顔が不覚にも可愛くて、土方はこの愛嬌に付け入られたんだな、なんて野暮な事を考えていたのだった。

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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー!応援ありがとうございます!!! (6月4日 21時) (レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です!土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年4月9日 23時

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