美味 ページ34
女中生活が始まり早1ヶ月。
今日は!今日は!!待ちに待った…!!
「初任給!」
人生初の給料日!嬉しくて堪んない。
近藤さんから受け取ったお給料を握りしめてドタドタと屯所内を駆ける。
副長ならあっちだよ〜って目的地は言ってないのに皆察して教えてくれるおかげで最短ルートで土方さんのところまで向かえる。
廊下を走っていれば歩く土方さんの背中を見つけた。
ぎゅるんっと音が出そうな勢いで土方さんの腕を引っ張ると驚いた顔と目が合う。
「土方さん!!!」
土「おわっ!なんだ?」
あまりの勢いに驚いたのか、煙草を落としそうになっている。
けどそんなのお構い無し。
「初任給頂きました!」
土「おっ、もうそんな経つのか。おめでとう」
茶封筒を土方さんの方に向ける私を見る表情はとっても優しい。
私が喜ぶ様子を見守ってくれて、本当にお兄さんみたい。
「私がここでお世話になると決まった時に日用品やらなんやら揃えて下さってありがとうございました」
あの時借りたお金をようやく返せる。
深くお辞儀しながら茶封筒を差し出せば頭をがしがしと撫でられた。
土「1ヶ月間よく頑張ったな」
「ありがとうございます!これからも頑張ります!」
土「おう。期待してんぞ」
顔を上げれば穏やかに笑った土方さんと目が合う。
土「初任給祝いだ。メシでも食いに行くか」
「っはい!」
首が取れそうな程頷けば笑われてしまう。
久しぶりの土方さんとご飯だ。嬉しい。
▽▼
土方さんに引っ付いていれば何やらお高そうなお寿司屋さんへと到着した。
芋る私とは裏腹に、土方さんは慣れた様子でカウンターへと座る。
大将の方とも仲良さげ。常連さんなのか。こんないいお店の常連なのか。
緊張していると、優しい声が降ってくる。
土「好き嫌いあるか?」
「お寿司自体食べたことないから何が好きか嫌いか分かんないんです。ごめんなさい」
土「そうか。じゃとりあえず気になるもん食ってみ」
「はい!」
まぐろ、さーもん、うに、いくら。端から端まで食べてみた結果。
「ナニコレ。すっごい美味しいです」
土「なら良かったよ。」
「人生で食べたご飯の中で1番美味しいです
とろける、なにこれ、おいしい」
土「ははっ。頬落ちそうになってんぞ」
もぐもぐしながら土方さんの方を向けば両手でほっぺをぎゅっと持たれた。
余っ程頬が落ちそうになっていたらしいです。
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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー!応援ありがとうございます!!! (6月4日 21時) (レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です!土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年4月9日 23時