記憶 ページ22
着物屋さんへ入り、店内を見渡す。
「これ吸い終わったら合流するわ。」
と言い残し土方さんは店前で煙草を吸っている。
今まで兄妹のお下がりしか着たことがなくて、今の着物も姉が破れて捨てたのを拾い、継ぎ接ぎをして着ている状態だ。正直言ってみすぼらしいだろう。
好きな着物を選んで着たことがないから見てるだけでワクワクする。
これからお給料を頂いて、貯金していけばこんな綺麗な着物も買えるのかな、なんて希望を持てるだけで涙が出そうな程嬉しい。
「わぁ、これ可愛い」
土「本当だ。意外とセンスいいのな」
「土方さん！びっくりしたぁ」
いつの間に吸い終わってたのか、急に後ろにいるからびっくりしちゃった。
私の声で土方さんもびっくりしちゃってる。
「もう見終わりました。行きましょっか」
土「早ェな。もういいのか」
「はい。今は我慢です」
着物屋を出て街行く人たちを眺めているけど、かぶき町は変わった風貌の人が多いらしい。
チャイナ服を着た女の子、銀髪の侍、歩く眼鏡。
あ、髪の毛紫のくノ一も居る。
電柱の陰に隠れるくノ一の彼女は何か仕事中なのだろうか、そんなことを考えていたら土方さんが頭をコツンとつついてきた。
土「他に何が必要だ？」
「あの、……」
言い辛くて口篭ると鋭い目で睨まれる。
睨まれると怖い。うっ、蘇る取調室での
土「何だ。さっさと言え」
「あの、下着…」
私の言葉を聞いた土方さんは頭をかいてそっぽを向いた。
あ、すまん。と彼は軽く謝り、ポケットに入れていた財布を私に投げ渡した。
土「じゃ財布渡すから買ってこい」
「不用心過ぎませんか？もし私がこれ持って逃げたらどうするんですか？」
土「ンなことしねェって分かってっから財布渡してんだろ」
「いや、でも…」
反論しようとすれば、なんだ？すんのか？なんて悪戯気に顔を覗きこまれる。
「しませんけども！」
土「じゃ問題ねェだろ。さっさと行け」
しっしっと追い払われる。
行動と言葉の性格不一致過ぎない？
困惑するけど、現実問題 財布をお借りしないと下着が買えない訳で…
勢いよく頭を下げた後、ダッシュで下着屋さんへと入るのだった。
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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます！！嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー！応援ありがとうございます！！！ (6月4日 21時) (
レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です！土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氏兎 | 作成日時：2023年4月9日 23時
