露骨 ページ9
あの日、近藤さんは「掃除は頼んだぞ」と言ってくれたけど人間の血飛沫は簡単に落ちるものじゃなくて、結局業者にお願いすることとなった。
床や壁の張替え作業は終わったけど、破壊された箇所の修復はまだで本当にここが戦場だったんだと実感する。
折れた柱の残骸を見て固まっていると、煙草の匂いがした。
振り返ると目の下が真っ黒、隈が酷い土方さんと目が合う。
「あ、土方さんおはようございます」
土「おう、はよ」
「隈酷いですね、大丈夫ですか?」
土「ああ、問題ねェ」
「無理はしないでくださいね」
土「おう」
「床と壁が綺麗になりましたね」
土「そだな」
「今日お昼ご飯一緒に食べれませんか?」
土「悪い、忙しいから無理だ」
「そう、ですよね…」
あの日以来土方さんが素っ気ない。
目もろくに合わしてくれなくて会話はすぐ途切れる。
どんなに鈍い人間でも避けられてると気が付くほどに露骨だ。
土「仕事に戻る。じゃあな」
「はい、頑張ってください」
一緒にご飯を食べることも無くなったし、縁側でのんびりすることも、土方さんの部屋に押しかけて話をすることもなくなった。
悲しくて離れていく背中を見ていると、肩に暖かい手が乗る。
近「どうした、トシと何かあったのか」
「最近避けられててちょっと傷ついてます」
近「彼奴がやけにピリついてると思ったらそういう事か」
眉毛を下げて笑うと近藤さんは悲しそうな顔をした。
近「野郎は人一倍責任感が強い。だから1番大事なAちゃんの近くに
「…本当に余計な事です。人を傷付ける為だけの殺人とは違う。
何かを守る為に、誰かを生かす為に振るう剣は人殺しとは言わないと、私は思います」
近「Aちゃんがそう言えばトシの中でも何か救われるかもな」
「避けられてて言えそうにないんです」
近「恋愛マスターの俺からの助言だ。
ツンデレには押して押して押しまくる!これに限るぜ」
恋愛マスター……というよりストーカーマスターなのでは…
というツッコミは飲み込んだ。
「恋愛じゃないですよ。きっと私の事は妹分としか見てないです」
近「それはどうかな。トシとの付き合いは長い
彼奴の態度見てりゃ分かるよ」
トシの事頼んだぜ、といつも通りの暖かい笑顔で去って行き、
心のもやもやは晴れて勇気を持てた。
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咲(プロフ) - 初コメ失礼します。久しぶりに土方の小説でどタイプな物に巡り会えました!繁忙期ということでどうかお身体だけにはお気をつけて下さいませ。また続きが読めるのを楽しみに待ってます😊 (7月20日 3時) (レス) @page20 id: 1bbdae847f (このIDを非表示/違反報告)
愛夢(プロフ) - ゆっくりでいいので無理しないでくださいね、戻ってくる時を楽しみに待っています! (7月20日 0時) (レス) @page20 id: 0ee516d48c (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - 愛夢さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!!休載となってしまって申し訳ないです、、早く戻ってこれるように頑張ります!! (7月19日 23時) (レス) id: 0749f7098e (このIDを非表示/違反報告)
愛夢(プロフ) - ほんと最高です!今まで見てきた夢小説の中で一番好きです。これからも頑張って下さい! (7月18日 22時) (レス) @page19 id: 0ee516d48c (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - ぱるさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます😭😭にやにやしちゃいました😭😭笑 このコメントのおかげで完走まで頑張れそうです!!応援ありがとうございます🥹 (6月22日 16時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年6月10日 22時