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毎日欠かさずに行っている筋トレとストレッチ。クラブが休みの日曜日はいつもより多めにやっている。

お風呂から上がって、右足の太ももに左足を乗せ、足首を回しているときだった。


「ただいまー」


お兄ちゃんが帰ってきた。


「腹減ったー!母さん飯ー!」


慌ただしく玄関を駆け上がり、洗面所へ直行する足音が聞こえた。そのすぐあと、お父さんも帰ってきた。

お母さんが二人分の食器をテーブルに並べ終えたところで、着替えたお兄ちゃんがやってきた。


「ありがとう!いたたきます」


お兄ちゃんは美味しそうにご飯をかき込んだ。


「なあA聞いてくれ!合宿ちょー面白かったんだよ、音駒に入った1年が結構凄くてさ。特にリベロ。しつこいくらい上げるんだよなーあいつ!でもこっちも負けてねえ。木兎はムラっ気あるけど相変わらずすげースパイク連発してたなー。あ、見たい試合あるからテレビ使っていい?てか一緒に見ようぜ」

「うん。わかったよ……」


バレーのことになるとお兄ちゃんはいつもこうだ。弾丸トークで圧倒される。お兄ちゃんの隣でご飯を食べるお父さんも呆れ顔だ。

お父さんもお母さんも、このお兄ちゃんの勢いにはさすがに疲れてしまうようで、幼い頃からずっとお兄ちゃんのバレー話の相手は私だった。


「いや、やっぱその前に、練習付き合って!」


お母さんが台所から「落ち着いて食べなさい」と声をかける。それでもお兄ちゃんは見事な早食いっぷりを見せ、ものすごい速さで完食した。





バレー話の話し相手役と同様に、お兄ちゃんがバレーを始めてしばらくたった頃から、お兄ちゃんのレシーブ練習に私は付き合わされていた。そしてそれは今でも続いている。

私がバレー好きになったのは絶対にそのせいだ。

私の人生に全く不要だと思っていたレシーブの技術だったが、もしかしたらそれのおかげで鍛えられた足腰が少なからず泳ぎに良い影響を与えているのかもしれない。


「来週大会あるんだろ?調子は?」

「いつも通りだよ」


オーバーハンドで綺麗に返しながらお兄ちゃんは私に聞いた。


「自信もっていつも通りって言えるのも、本当にいつも通りなのもお前のすごいところだよな」


お兄ちゃんはわざと取りづらいところに返してきた。私は大股で1歩踏み出して腰を落とし、ギリギリのところで上げた。


「相変わらず股関節やわらけー」

「私は、素直に人を褒められるのがお兄ちゃんのすごいところだと思うよ」


私の言葉の意味をお兄ちゃんはよくわかっていなかった。きっと褒めているつもりなどなくて、思ったことを言っているだけなんだ。

私達は兄妹なのに驚くほど似ていない。


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作者名:ねむねむねむね | 作成日時:2024年2月26日 23時

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