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ジャンフロの厄介さは外から見て想像していた以上だった。
直前まで軌道が読めないし、うまく正面で取れても思わぬ方向にボールがとんでいってしまう。
それに多分、お兄ちゃんはわざと私が取れそうで取れない場所に打っている。
なにが「うまくコントロールできない」だ、嘘つき！
「な？意外とむずいだろ、これ」
「正直舐めてた！」
お兄ちゃんは「素直でよろしい」といたずらっぽく笑った。
隣のコートから「木葉もういっぽん！」と大きな声が聞こえてきた。「お前ばっかずりーぞ！俺にも打たせろ！」と2人は口論している。あの2人もお兄ちゃんと同じ
「お兄ちゃんはスパイクの練習しなくていいの？……いや、私のトスじゃ練習になんないか」
まだ家の庭でスパイク擬きができていた身長だった頃は私もトスを上げていたが、このネットの高さ、男子高校生の打点に合わせたトスは、私には上手く上げられないだろう。
「てか、ジャンフロなんていつから練習してたの？去年くらいまでジャンサーに力入れてるとか言ってたじゃん。なんでそんなにいろいろやってんの？」
私は下から腕を振ってボールをネットの向こうに返した。
お兄ちゃんはそれをキャッチして、指の先でくるくると回しながら言った。
「俺さ、レシーブもスパイクも、全国で通用するレベルになってると思うんだよね」
「え？うん、そうだね」
「だからそっちの練習を疎かにしてるってわけじゃないけどさ」
身内贔屓じゃない。客観的に見ても、お兄ちゃんの実力はお兄ちゃんが言っていた通りだと思う。
「レシーブとスパイク
お兄ちゃんはボールを回すのをやめて、ガシッと両手で掴んだ。
「そんでその1点が、チームの流れを変える1点になるんなら最高だね。コート上でできること全部、無駄なことなんてないはずなんだ」
お兄ちゃんは満面の笑みを浮かべた。私は「そうだね」と言った。
水泳と違って味方がいるのに、やることが多いなんて大変そうだ。
「おし！じゃあちゃんと構えろよー」
「やっぱりまだいたか！雨なんだからさっさと帰れって言ったろ！」
体育館の扉をガラッと開けて、バレー部の監督が叫んだ。
お兄ちゃん達は「すんませーん！」と声を揃えた。
「A帰るぞ！片付け手伝って！」
私は急いで靴下とスカートを履いて、お兄ちゃん達と一緒にボールを集めたりモップをかけたり後片付けに奔走した。
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作者名：ねむねむねむね | 作成日時：2024年2月26日 23時
