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ホグズミード行きの土曜の朝、Aはマントやにすっぽりくるまり、一人でホグズミードへ向かった。
入学前に買った物だったが、外で遊ぶなんてことを今までしてこなかったおかげで、そのマントからは新品特有の匂いがした。
マフラーも持っていたが、それは例の手作りの物で、なんとなくAはそれを付けるのが嫌だった。
土地勘の無い場所に一人で向かうのは少し心細かったが、Aは手を擦り合わせて手を暖めることで、その気持ちを紛らわせた。
Aは一番最初にハニーデュークス店に入った。この店は、ロンとハーマイオニーから以前話を聞いていたのだ。
店内は人がごった返していて、商品をじっくり物色する余裕はなかった。
「ドルーブル風船ガム」「ブルブル・マウス」「ヒキガエル型ペパーミント」「爆発ボンボン」____
商品を軽く眺めながら、どれも、女の子に渡すプレゼントには相応しくないな とAは思った。
「これはどうかしら？」
「ゲー！それ、昔フレッドとジョージに食わされたけど、とんでもなく苦かったぜ！」
『異常な味』と書かれた看板の下に、ロンとハーマイオニーが立っていた。
Aは二人を見つけた途端ドッと緊張がほぐれ、人混みを掻き分け、二人のところへ寄った。
「何を見てるの？」
「Aじゃない！」
「君もこんなところに来るんだな！意外だよ！」
「今日はちょっとね」とAは肩をすくめた。
二人は、ホグズミード行きの許可証が貰えなかったハリーのためにお土産を探しているらしい。
「じゃ、これは？」
ロンがハーマイオニーの鼻先にゴキブリ・ゴソゴソ豆板の瓶を突き付けた。
「絶対イヤだよ」
背後から、ハリーの声が聞こえた。
「ハリー！どうしたの、こんなところで？ど、どうやってここに？」
「ウワー！君、姿現し術ができるようになったんだ！」
「まさか。違うよ」
ハリーは声を落として、先程フレッドとジョージから貰ったという秘密の地図について説明をした。
Aも最初は驚いたが、この地図には心当たりがあった。
____ 「いいや、僕がいれば誰にも見つかることなく戻れるぜ、絶対にな」____
きっと、去年のクリスマスの夜も、フレッドはこの地図を使ったのだろう。
それからハーマイオニーは地図をマクゴナガルに渡すべきだと主張したが、ハリーとロンはそれを拒否し、ハーマイオニーの言葉を聞かずに店内を周りだした。
「二人とも、いつもああなんだから！」
「ねえ、あなたはクリスマス・プレゼントに何を貰ったら嬉しい？」
ハーマイオニーはAの言葉に目を見張った。
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作者名：ねむねむねむね | 作成日時：2023年4月5日 23時
