29 友人Sの心境 ページ31
教室で友達と雑談して時間を潰していると、誰かが教室に入ってくる気配がした。
ふわりと髪を揺らしながら歩く姿は、まさしくAだった。
HRが始まる5分前。
Aはいつもこの時間に登校してくる。
真面目なAが何故こんなギリギリな時間に来るかというと、寝坊とかそんな理由なんかじゃなく、家政婦として朝飯を作っているからだ。
「おはよー、A」
俺の隣の席に座るAに声をかけると、いつものように笑って返事をしてくれる。
「おはよ、シキ」
今日もAの笑顔に癒された俺は満足してAの頭を撫でるといつものようにAに手を叩かれた。
小柄に見えて実は力が強いAさん。痛いです…!
授業中のAは、相変わらず真面目だから一睡たりともしない。
俺はたまに寝こけてしまうときがあるが、そのときはAが優しく起こしてくれる。
…なんてことはなく、イスを蹴られて起こされる。
イスが蹴られた衝撃に驚いて立ち上がる俺に先生も驚きさらに俺も驚く。
得られるものは羞恥心だけである。
ちなみに隣のAを恨めしげに見ると、にやにやとしながら口パクで「ばーか」と言われる。
かわいいから許す。
そんなAが何故不良になりたがっているのかわからない。
実際、制服も少し着崩しているだけだし、ジャラジャラとしたアクセサリーもなにもつけず、柔らかそうな耳たぶに穴なんて見当たらない。
それに比べて俺は髪も染めてるしピアスだって空けている。…ジャラジャラは邪魔だからつけてないけど。
この疑問は一度もAにぶつけたことはない。
触れてはいけないような雰囲気があるのだ。
もしかして、不良にならなければいけないという義務があるのだろうか…?
俺はAに感化されて不良になったようなものだから、理由なんて無いけれど。
どんな理由でもいいから、俺はいつかAの口からその理由が聞けることをただ静かに期待している。
「シキ」
ぼやっとしていると隣からAにくん、と服を引っ張られた。
「あのさ、」
「なに?どーした?」
珍しく言いづらそうにもじもじしているAに違和感。うっすら頬が赤い。え、なんだ?
「…いつも、ありがとな」
「え」
ガタン
「佐藤!またお前寝てたのか!授業終わるまで立ってろ!」
「 え ? 」
夢かよ。
Aのことを悶々と考えていたからか、夢にAが出てきた。
案の定、隣を見るとAはやはり楽しそうに笑っていた。
1049人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます!随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました!!!!ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます!! (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです!お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくらんぼ | 作成日時:2016年5月8日 12時