28 ある日の夕食 ページ30
それは、夕食のカレーライスを食べていたときだった。
俺の正面に座っていたシオンが突然、カラン、と音を立ててスプーンを落とした。
シオンを見ると、何故か涙目になって何かに耐えるような顔をしていた。
「Aくん？どうしたの？大丈夫？」
右隣に座っていたソウが落ちたスプーンを拾い上げ、シオンの顔を伺った。
「な、んでもない…です」
俯いてそう答えたシオンは、明らかにいつもと様子が違う。
「具合でも悪いんですか？」
左隣に座っていたイチがシオンの頭を撫で、顔を覗き込もうとしたが、シオンは顔を上げてまた「なんでもない」と言い、今度はサラダを食べ始めた。
俺たちはわけもわからずただシオンが食べるところを見つめていた。
すると、シオンがトマトを口に含んだとき、またカシャンと箸を落とした。
「A…？」
ミツの心配そうな声が静かなリビングに響いた。
シオンは口を押さえて固まっていた。
「シオン？大丈夫ですか？毒でも入ってました？」
「そのトマト腐ってたか？」
「トマトはいつも腐ってる」
「環くん！君はトマトを嫌って食べないだけだろう？」
ふるふると首を振るシオンをナギやらミツやらがさらに心配する中、俺は一つの結論にたどり着いた。
「シオン、それ虫歯だろ？」
「！！！！！」
図星だったようで、シオンは椅子からガタタッと立ち上がった。
「なんだ、ただの虫歯か…」と安心するミツたち。どんな想像してたんだか…。
「虫歯なら明日歯医者さんに見てもらわないと！」
そう言った陸を睨み付けるシオン。
その態度で歯医者が嫌いなことがすぐに伝わったのは俺だけじゃなかったようだ。
「Aくん、念のために歯を見せてもらってもいいですか？」
「？！」
「はーい、A。あーん」
イチがシオンの顎を固定させ、リクが口を開けさせようとしたが、不機嫌なシオンにリクが無言で蹴られていた。
そんなシオンに悪戯心が働き、俺は後ろから手首を掴んで、ミツとナギにシオンの歯を見るように言った。
「A、楽になろうな〜」
「今綺麗にしてあげますね…」
「〜っ、…やらっ」
ミツがシオンの口に指を突っ込んで無理やりこじ開けようとした。
「なんか、襲われてるみてえ…」
そんなタマの言葉に俺は動揺して手が緩み、その隙にシオン十八番の肘付きをされて俺はブラックアウトした。
一時期無視されたことは言うまでもない……よな。
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弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (
レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます！随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました！！！！ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます！！ (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです！お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらんぼ | 作成日時：2016年5月8日 12時
