第七話「飴玉」 ページ7
それからというもの、小生はたびたび少女の病室に入るようになった。
毎日だと友人に悪いから、週に二回くらいの頻度だ。
小生が入ると彼女は嬉しそうに笑った。
その笑顔がなんとなく心地が良くて、帰りがけに顔だけ見るって事もしていた。
今まで感じた事の無い感情だった。
そのおかげなのか、小生の創作意欲も上がって、友人も今まで以上に笑うようになった。
「あなたは小説の神様なのかもしれません」
そう言うと彼女は笑って。
『小説の神様はあなたでしょ。私は、そうね……飴玉の神様なんてのはどう?』
と、机にたくさん乗っているチュッパチャプスを片手に言った。
「そういえばこのチュッパチャプス、ずっと置いてありますね。送り人は友人ですか」
『まぁ、そんな所』
それにしても減っていないように見える。
よくよく見るとどれも賞味期限が切れていて、送られたのは一年以上は前だろう。
それなのに溶けてドロドロになる事も無く、綺麗に並べられているのは彼女が管理しているのか。
どれも一切口に付けずに。
「これを送った方はいつ頃ここに?」
『……彼はもう来ないわ。この病室にだけは、もう二度と来ない』
初めて少女の暗い声を聞いた。
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黒羽ひみと(プロフ) - いじいじさん» 初めまして!神です!(嘘ですよ) 読んでいただきありがとうございます♪ (2020年10月5日 1時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
いじいじ - えぇ…神ぃ……? (2020年10月1日 12時) (レス) id: 071f62e8cb (このIDを非表示/違反報告)
そまそまりつりつ(プロフ) - 黒羽ひみとさん» まじですか?あの駄作を…神ですね。こちらこそこんな素敵な小説を読ませて戴いてありがとうございます (2019年7月23日 23時) (レス) id: 179de70c1e (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - そまそまりつりつさん» コメントありがとうございます!そまそまりつりつさんの作品最近見たので、テンション上がりました!途中、寒気や突然現れたり消えたりの描写があるので、怖いかも?と思い、一応ホラーにしました。儚さもありますね。読んでくださりありがとうございました! (2019年7月23日 23時) (レス) id: 11b0ce94e5 (このIDを非表示/違反報告)
そまそまりつりつ(プロフ) - 解説を読む進める度に「はぁ…」と納得のため息を漏らし過ぎて親にうるさいと言われましたw俺個人の意見ですがホラーと言うより、儚い物語のようにも思えました。とても面白かったです。 (2019年6月28日 23時) (レス) id: 179de70c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2018年8月3日 12時