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48.寂しくなくなるまで ページ12

太宰side

何だか最近Aが静かだ

この娘が撃たれてから凡そ1週間。まだ僅かな痛みがあるらしいが、それなりに動けるようになったらしい

本来なら、もう私は自室で仕事をしても良いのだが、少し首領の云った言葉が気になり、離れられずにいる


今は寝台に腰を掛けて本を読んでいた。Aはぼーっとしながら私の膝に寝っ転がっている
男の膝枕などで良いのだろうか
まぁ嬉しいのだけど



首『最近精神状態が安定していないように思うのだよ』



あの人の言葉を反芻する


確かに引っ掛かることはあるには、ある

最近、とても甘えてくるのだ。惚気ではなく

何処にも行くなとでも云うかのように、暇さえあれば引っ付いている。珍しい。珍し過ぎて違和感を覚える

真相を知るべく、私はそれとなく尋ねた


太「A。此処最近、随分と甘えたさんだね?
どうしたの?」


頭を撫でながらそう問えば、彼女は私の目を見て言葉を探す様に直ぐに目を逸らした


A「なんか、ね?」


太「うん」


A「なんか、最近、落ち着かない。ずっと、此処がザワザワしてる」


そう云って己の胸元を押さえた

あの時の怪我が原因だろうか…
心配になり、眉を顰めて尋ねる


太「ちょっと、大丈夫かい?」


A「うん。病気とか怪我とか、そういう感じじゃなくて、唯、ザワザワ、ソワソワってしてて…

あの時、太宰さんが撃たれてたかもしれないって思うと、落ち着かないのっ」


頭を撫でていた私の手を自分の頬に添えさせ目をギュッと閉じていた
私は彼女を落ち着かせる様に云った


太「大丈夫だよ。結果的には無事だし、今は私が側にいるじゃないか」


A「でも、今はでしょ?何時迄も側にいてくれる訳じゃないでしょ?」


彼女は目に涙を溜めながら云う


A「あの時の映像が!太宰さんのあの顔がっ…頭から離れないのっ!」


一体私は、どんな顔をしていたのだろうか

そして彼女は胸の内の蟠りを吐き出すように掠れた声で続けた




A「太宰さんはっ…太宰さんは!生きたい人じゃないっ」

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作者名:紫乃 | 作成日時:2023年1月30日 17時

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