脇目も振らない話 (ページ44)

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散歩 4 ページ44

シ「家、着いたぞ」

先輩の言葉にハッと我に返る
いつの間にか自宅前に着いてしまっていたようだった

シ「じゃ、オレももう帰るから」

そっと手を離しその場を去ろうとする先輩の羽織の袖を反射的に掴んだ

シ「…？A？」
貴方「風、冷たいです」

もう一度だけ
公園で無視された事をもう一度だけ言ってみた
流石に強欲だっただろうか
だんだんと不安になり、裾を摘んだ手の力が抜けて離してしまう

貴方「や、やっぱりなんでもないです！おやすみなさ………」
シ「全く、強欲な奴だな」

ふわっと優しく抱きしめられる
一瞬で彼の匂いに。温度に。包まれる
時々彼の硬い髪か頬にすれて擽ったい

貴方「え、あ、あの、先輩…？」
シ「何だよ。こういう事じゃねぇーのかよ」

いや、そう言う意味で言ったんだけど
まさかしてくれるとは思ってなかったし

貴方「そういう事、ですけど」

ゆっくりとぎこちなく
それでもしっかりと彼の背中に腕をまわした
ぎゅっと力強く背中にしがみつくと
まるで子供をあやすかのように
割れ物を扱うかのように優しく頭を撫でてくれた

シ「じゃ、おやすみ」
貴方「！あ、はい！おやすみなさい」

最後にポンポンと頭を撫でそっと離れた
もう少ししていたかったな、なんて思ってしまう

街灯のない場所でよく表情は分からなかったが
普段冷静沈着であまり表情を変えない彼が
ほんの少しだけ紅潮していた気がした

＿＿＿＿＿先輩、大好きです

完全に先輩の姿が見えなくなった後に呟いた独り言は闇の中に掻き消されたのであった

＊＊

一応ですが、載せておきますね

暖かいですね→あなたが傍にいてくれて幸せです
今日は少し肌寒いですね →手を繋いでください
風が冷たいですね⇒あなたを抱きしめたいです
星が綺麗ですね→あなたは私の想いを知らないでしょうね
月が綺麗ですね→愛しています
死んでもいいわ→愛しています

です！一応調べたのですが、もし間違っていたらごめんなさい。