脇目も振らない話 (ページ23)

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呪い 4 ページ23

シ「…聞こえてるだろ」
貴女「えっ…と」

言葉につまる
もうわけが分からない
だって、だってシンタローは私のこと
そんな風に見てないはずでしょ

シンタローは、アヤノちゃんが1番のはずでしょ
シンタローにとって私はただの友達で。仲間なはずで
こんな気持ちを抱いてるのは、私の一方的なはず

シ「好き。好きだ。好き、好きす…」
貴女「ちょっ、まっ、聞こえてる！！聞こえてるから！！」

好きの連発に耐えられなくなり、思わず遮ってしまった

貴女「か、からかってるの？」
シ「んなわけねぇだろ」

貴女「じゃ…ば、罰ゲーム？エネちゃんとかに脅されてるとか？」
シ「…何でそうなるんだよ」

はぁ…
と大きなため息をつかれる

シ「Aってさ自分を卑下しすぎな所あるよな。もっと自信持てよ」
貴女「そんなこと、言われても」

できることなら自信を持ちたい
でも、それができないから困っているのだ

シ「オレ、Aの事が好きだ。勿論、恋愛的な意味だぞ？
Aが辛い時悲しい時慰めてやりたいし、楽しい時や嬉しい時は一緒に喜びたい。側にいて、分かち合いたいんだよ」

だからさ
と一呼吸おき、一度胸の中から離される

まるでプロポーズされる時のような台詞に鼓動が早くなる

＿＿＿＿＿オレと、結婚を前提に付き合ってくれますか

真剣な目つき
真っ直ぐ私の目を見てそう言った
その目を見れば嘘を言ってない事は分かる

いや、それ以前にシンタローが嘘でこんな事を言う人じゃないことぐらい最初から分かってる

さっき止まったばかりなのにまた、目頭が熱くなる
溢れ出す涙
拭うことも出来なくて、ただただ溢れ出すばかり

シ「…それはどういう涙？」

優しく微笑みジャージの裾でそっと包み込むように拭ってくれる
その手にそっと自分の手を重ねる

貴女「嬉し、涙っ…！！」

若干鼻声で嗚咽まじりに答えた
今私、すごい顔してるんだろうな

シ「じゃ…彼女になってくれる？」
貴女「うんっ、うんっ…！！」

必死に頷き、今度は私の方から思いっきり抱きついた

シ「ありがとう」

そう言って抱き締め返してくれる
お礼を言うのは私の方なのに
いつも先を越されてしまう

でも、言わなきゃ
私は今回だけじゃなくて、何度も何度も助けられたんだから
その分の精一杯の『ありがとう』を

そして

「︎︎＿＿＿＿＿」

伝えたかった、あの言葉を＿＿＿＿＿

＊＊

初恋は呪い
でもそれは
成就しなかった時の話

＊

作者より
初恋ネタ続きでした
(そろそろネタ無い)