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旅館の部屋に案内されても特にすることはなく
不死川は、ずっと鬼の気配を探っていた


一方Aはそれどころでではないらしく
女将さんに言われた言葉と不死川にされたことが頭の中をグルグルしていた


本当に女将さんが言っていたような関係になれたら、どれほど幸せだろうか



実現しえないこととは分かっているが、年頃の女が色恋に心を弾ませるのは

心臓が動いているのと同じくらい自然なことなので

あるはずのない未来を考えてしまうのは仕方ないといえる



しかし、さすがに柱がこれでは不甲斐ないと思い

町の様子を探りに行くことにした



町に出ると特に変わった様子はなく、むしろ平和といえるほどだった

鬼特有のまがまがしい気配も全くしない


ふと、よい香りが鼻をくすぐる

匂いのするほうへ目をやると、食事処があった


丁度、昼時でお腹がすいていたところだ
腹ごしらえついでに、鬼の情報収集をしようと食事処ののれんを潜る


中に入ると、老若男女問わず様々な種類の人であふれかえっていた

一つだけ空いていた席に座り、店員を呼ぶとそれとなく話しかけた


『この町はいいところですね。最近、旦那とここへ引っ越さないか迷っているのです』


女の店員は生まれも育ちもこの町だったようで、地元を気に入ってもらえたのが嬉しかったのか
「この町のことをあまり知らないでしょう?」といろいろなことを教えてくれた


店員の仕事の邪魔をしない程度で話しながら鬼につながることは何かないか探っていく



「そういえば最近、町長の姿が見えませんね。部屋にずっと閉じこもっているようで、使用人にすら会わないのだそうです…。あっ、それに夜に町長らしき人を見たって話もあるのですよ」






きた



鬼への手がかり

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作者名:もでらるZ | 作成日時:2019年9月22日 4時

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