無限の未来 16th season (ページ41)

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791話ページ41

【ジェシー】

赤「どーしたの、これ」

普段通りに呑気に慎太郎と廊下を歩いていると、慌てて俺のところへ走ってくる大我が、ずっと“Aが！足が！”って言ってて。

今日は樹も北斗も楽屋入りがギリギリになるって聞いてたから、ダッシュで駆けつければ、真っ赤に染まったタオルを足に巻くA。

左足かと思ってたから、予想してなかったことに驚きを隠せなかった。

とりあえず、すぐに医務室で応急処置だけしてもらっても、まだジワジワと少しだけ血が滲んでいる。

赤「A。黙ってちゃわかんない。言わなくちゃ、助けらんない」

「…」

なにを聞いても、なかなか口を開かないAに、つい俺も口調が強くなってしまう。

俺はあんまり、Aに強く言うことがないから、Aもちょっとビビってるし、他のメンバーも驚いている。

けど、俺は怒ってる。

もちろんAにじゃなくて、Aのことをこんな風にした誰かに。

黄「ジェシー。A、怖がってっから…」

赤「いや。引かないよ、俺。ねぇ、A…俺ね、自分のためにだったら、こんなに怒んないよ？」

緑「っと…貧血かな。A、気持ち悪い？吐く？」

慎太郎の言葉にコクコク頷くAの顔は真っ青で、一発で貧血だってわかる。

俺たちが来るまでに、だいぶ出血していたのか、気持ち悪いみたいで、慎太郎が用意した袋に勢いよく戻し始めるAを見て、余計に怒りが込み上げた。

赤「A…俺、やっぱり…大事な仲間を傷つけるやつは、許しておけない」

桃「ジェシー、もうその辺に…」

「顔…見えなかった…ッ、マスク、してて…。でも、背は…高め…。細、かった…。ごめ、慎…起こして」

緑「…もう、気持ち悪くない？」

「ん。ありがと…。あと、覚えてんのは…指輪、してた」

背が高くて、細身で、指輪してる女性…なんて結構いるよ…って頭を抱えながらも、それだけでも覚えていてくれたAに、“でかした”と伝えて頭を撫でる。

怒ってない？って聞いてくるから、Aの目線までしゃがんで笑ってあげれば、ちょっとは安心してくれたかな。

もう一度目を閉じたAを横目に、俺たちは、怒りに震えていた。