無限の未来 15th season (ページ8)

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708話ページ8

【北斗】

「ほっくん、ごめん。耳しんどい…」

黒「おぉ。座りな、座りな。補聴器外す？」

「んー…」

一旦休憩を挟むことになって、各々がグループで固まったり、普段会えない別のグループのところへ遊びに行く中、お気に入りのHiHiの所へも行かないA。

あまり関わりのない後輩たちも多いからか、不調は訴えてくるものの、補聴器を外すのは少し躊躇っているA。

聞こえなかったら申し訳ない…とか思ってんだろうけど。

黒「これだけ人数いれば、隠れるし。手話である程度会話してもいいし」

「うん…」

青「これだけ離れちゃうと、大きい声で俺らが話しても限界あるっしょ？」

樹も説得をしてくれるんだけど、やっぱり迷いがある様子のAに、スタッフさんも、ゆっくり考えていいよって声をかけてくれる。

そこへフラッと声をかけにきてくれたのは、如恵留。

如恵留「A、俺が通訳しようか？多分、他の誰がするよりも、スムーズにできるとは思うけど…。位置も近くだし、どうかな？」

「のえくん…」

黒「如恵留が通訳してくれたら、俺よりもっと楽じゃない？頭痛くなったりしたら、この後、関コレとかツアーもあるし…」

うーん…と悩んだAだけど、結局は右耳の補聴器を外して撮影に臨むことになった。

側では、Aの護衛のように、橋本っちゃんが様子を伺っていて、外すって伝えるようにジェスチャーをすれば、ニコッと笑顔を向けてくる。

「涼、バレてる」

涼「えー？マジー？」

「そんな心配しなくても大丈夫やから。ほっくんと、のえくんが居るのは心強いので、お願いします…」

黒「不満そうだけど？」

そう言って、ちょっと意地悪に声をかければ、“そりゃできるなら、自分の耳だけで乗り切りたかったよ”って苦笑いするA。

どんなに頑張っても、俺たちが、聞こえないAの世界を知ることができないのがもどかしい。

彼女もまた、まだ自分の置かれたこの環境に慣れてはいなくて、お互いに探り探りの状態。

それゆえに、どうサポートしてあげるのが正しくて、何が彼女のためになるのか分からないけど、時間をかけて、少しずつ慣れていくしかないんだろうな…。