無限の未来 15th season (ページ19)

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719話ページ19

【大我】

心配するようなことは、何もなかった。

いや、何もなかったわけではないけど、曲中、楽しそうに笑っては飛び跳ねるAの姿があったから。

桃「A、水でいいー？」

「ん、ﾊｧｯ…あ、と…ﾊｧｯ、ﾊｧｯ…」

青「疲れたな…ｯﾊｧ…」

「ｯﾊｧ…ﾊｧｯ…」

楽しそうだったステージとは打って変わって、息を整えるように舞台袖で立ち止まるAの背中を支えながら、一旦楽屋へ戻る。

シークレットゲストとして出させてもらったこともあって、普段とは違う、なんとも言えない緊張感だったなぁなんて。

緑「めっちゃ喉乾いたー！ありゃ、Aちょっと脱水気味？水分多めに取っときなね？」

桃「お疲れ、がんばったね。耳は、大丈夫？」

「大丈夫やった、ｯﾊｧ、聞こえたよ。ﾊｧｯ…ｯﾊｧ」

まだランウェイが残っているけど、しばしの休憩。

完全アウェイで挑んだこのステージ。

笑われたりもした。

正直、悔しかった。

でも、俺たちにとっては学びの多い場になった。

桃「YTFFでも思ったけど…まだまだだな」

青「なんか、似てたよね。感覚。はぁ～…疲れた…」

削られる精神面と、体力は想像以上に大きくて、楽しかったけど、まだまだ、ここで勝負できるまでには経験が足りないと感じた。

隣でグターっと酸素片手に体力を回復させているAも、時々俯いているのは、きっとこの消費された体力を思ってだと思う。

それでも、落ち着いてきたAに、楽しかった？って聞けば、ニッコリ笑って大きく頷くんだから、いい経験だったことは間違いない。

「ねぇ、てか…何でみんな上裸なん」

黄「あーっちぃんだよ～、緊張で」

「てか、今思ったけど京セラなんじゃん。今日」

桃「え…今？笑」

「勇人、先週までここで試合してたんじゃん！え！すご！」

急にテンションが上がって、リラックスモードになったAを見て、思わずYouTubeのスタッフさんは吹き出してる。

Aにとって、球場で仕事をするっていうのは、そういうことなんだって、そう思った。

思わぬところでAのリラックスポイントが見つかって、いい具合に力を抜くことができたのは、俺たちの方だった。