無限の未来 15th season (ページ15)

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715話ページ15

【大我】

黄「A、いま両耳聴こえてないんだ」

舞台の千穐楽を終えて、関コレのために大阪に駆けつければ、高地から告げられる衝撃の事実。

ストレス性の難聴だなんて、言われて、はいそうですか、と思えるはずもなく。

右耳に補聴器つけるから大丈夫、なんて本人が言ってたって、すんなりとは受け入れられない。

「だいじょーぶよ、できるから」

桃「あのねぇ…」

赤「樹にガチギレされてるから…大我、優しくしてあげてね？」

桃「え？樹が…？」

Aの過去のいろいろを知っている樹が、Aにガチギレだなんて、相当だ。

しかも、そんなだから、きっとかなりの勢いでキレたんだろうことも容易に想像がついてしまう。

今は落ち着いたから大丈夫だけどねって言うジェシーも、それを隣で聞いていた慎太郎も、苦笑い。

青「きょも、自分のこと…絶対責めないでよ？昨日、Aかなり気にしてた。俺らが気にすると思って…言い出せなかったんだって」

桃「どういうこと？」

青「…察してくれる？」

もちろん、察してた。

樹曰く、ここ最近のAは、ほぼ毎日のように苦しい夢を見ていたと。

一度は樹が気づいていたみたいだけど、ドラマの撮影で3日ほど泊まりがけだったのをきっかけに、その事を隠していたらしい。

ついでに、左耳も聞こえにくくなっていることも一緒に。

青「今日は、間に合わなかったけど…ちゃんと、治るって。まぁ…チビの感覚だから分かんないけど、昨日よりちょっと聞こえるとも言ってた」

桃「そ。なら、俺らはAをカバーするだけだね」

青「ありがと、きょも」

楽屋にケータリングが大量に持ち込まれていて、北斗と一緒に楽しそうにチーズドックを食べるAを見ても、補聴器がなければ音が聞こえないなんて、到底思えない。

開き直ったのか、強がっているのか…結局のところ、Aにしかその真相は分からないけど、今この場で彼女が笑っていることは、事実。

桃「A、美味しい？」

「ひひっ、美味しいよ～！」

桃「緊張する前に、お腹満たしておきなね？」

「はーい」

この笑顔が見れるなら、大丈夫。

根拠のない自信だけど、そう思った。