無限の未来 11th season (ページ31)

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531話ページ31

【北斗】

しんどいならどっちでもいいんだよって、俺たちはAがジャニーズJr.祭りに出るのか、判断を任せることにした。

関西は3日間だけだし、その3日だけ出ていなかったところで、何か怪しまれることはないだろうとも思ったんだ。

とはいえ、関西で立つことのできる、数少ないステージだから、きっとAは出演の方向で進めるんだと思ってた。

だから、Aからの相談には少しだけ驚いたんだ。

「出たいんやけどね…自信がなくて」

黒「あら、珍しく。なんかあったの？」

「んー…他のグループに迷惑かけたくないのが大きいな。あとは、オーディションがあるっていうんも、かなり大きい」

「万が一、ステージ上で、全力が出せんくなった時を考えると…そんな姿見せらんないなぁって…」

本当に苦しそうな顔をして、そんな複雑な思いを絞り出すAを見れば、出たいんでしょ？って言って、楽にしてあげたくもなる。

でも、Aが葛藤している、そのプライドも傷つけたくはない。

俺たちがなんとかするから、思いっきり限界までやっていいよ、って言ってあげられるほどの強さも、生憎まだ持ち合わせていない。

黒「どうしようね…」

「どうしようかな…」

黒「どうしたいの…？」

「出たいんかなぁ…」

黒「出ないの？」

「出ていいんかなぁ」

黒「ダメって、言われるかな？」

「言われないかなぁ」

そんな、言葉遊びのようなやり取り。

耳の悪い彼女と話す時特有の、ゆったりとしたペースで、少しずつ、本当に少しずつ…Aの心を溶かして、溶かして、彼女の想いの核心に近づいていく。

「ふふふっ、負けた。覚悟、できちゃったみたい…」

黒「ん。気が変わらないうちに、行こう」

3日間、よろしくお願いしますって頭を下げるAの頭に、6人で手を乗せる。

俺一人では、到底自信を持って“任せろよ”なんて言えないけど、5人がいれば、俺にも言える。

黒「A？お前には、最強の6人がついてるから。俺らに任せとけ」

そう言えば、クスッと笑って俺の方を見るA。

わかってるよ、どうせ“さっき言ってよ”って思ってんだろ。