504話 ページ4
【慎太郎】
緑「A〜」
「あー、ありがとぉ…。っぇッ」
緑「ちょー、ちゃんとブランケットかけといて？冷えたら酷くなるよ？」
青「薬あるけど、どうする？」
「副作用、怖いし…やめとく…ﾝｯ」
あと一週間で、全ての公演が終わるタイミングで、ちょうどその一週間が重なってしまったA。
幸いまだ止まってはいないみたいなんだけど、それも時間の問題だから、本人は、こんなことなら早めに止まってくれてよかった…なんて言ってる。
冗談でもそんなこと言うもんじゃねぇ！って、樹にはかなり怒られてたけど…。
緑「どうー？」
「痛い…ダルい、体が鉛…」
青「抗がん剤のせいで、周期グッチャグチャだったもんなぁ」
「把握せんといてや…」
6人全員把握してたし、把握してなくても、大体わかっちゃうんだけどね。
今日は関西の年上組が来るって言ってたし、はしゃぎたかっただろうなぁ。
緑「A、A。室くん、来てたよ？」
「今…無理っ…」
室「無理だろーが室だろーが、もー来てんねん。どない？腹痛いん？貧血？」
「龍太くん、うるさい…」
室「ん、頭痛いか…すまんすまん。声小さくするわ。あー…電気もし大丈夫やったら消したって？」
今となっては、俺たちの方がAと過ごした時間は長いし、何ならAがこうなるようになってからのことは、室くんだって経験はないはずなのに。
それでもわかる何かがあるんだろうって、感心してしまう。
緑「偏頭痛…？」
室「らしい。俺も文一くんに聞いてん…頭痛と喘息は昔からやからな」
緑「腫瘍で痛いのか、難しいね」
室「聞いたらええと思うで？A、自分で言うんは下手やけど、聞かれたことにはちゃんと答えるし」
室くんや浜中くん、Aと関西で一緒に活動していたメンバーが、どんな思いで幼ないAを東京へ送り出したのか。
それは分からないけど、関西で大切に大切に育ててもらったあの時があるから、今のAがいる。
だから、俺たちにだって責任はあるよね。
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年12月15日 20時
