無限の未来 5th season (ページ34)

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234話ページ34

【樹】

「ﾊｧｰ…ﾊｧｰ…ﾊｧｯ…っ、ﾊｧｯ…ﾊｧ…」

青「…んっ。…A？」

普段はどんなに寝起きの悪い俺でも、Aのこととなれば、話は別で。

隣で嫌なスピードで上下する布団の動きと、苦しそうな呼吸に慌てて飛び起きた。

ちょっと呼吸の荒くなってきたAの耳に体温計を入れれば、夕方よりも上がってきて本格的に熱発していて、呼吸の音こそまだ大丈夫だけど、きっと時間の問題。

青「A、薬飲もっか。ごめんな、しんどかったな」

「ん…。ﾊｧ、ﾊｧｰ…ﾋｭｰ、ﾊｧ…ｾﾞｪｰ、ｴﾎｯ、ｹﾎｹﾎｯ…」

青「ん、っと…一回起きれる？」

枕元に置いてたはずの解熱剤と…やっぱり聞こえてきたちょっと怪しい呼吸音に、できれば使いたくはなかった喘息の薬を探す。

ただ、一つやらかしたのは、まさか喘息が出ることまでは予想していなかったから、準備ができていない。

普段置いてる場所だと…この部屋じゃないんだよね…。

黒「樹、準備できてるから。ゆっくり連れてきて。ネブライザー、させてあげよ。先にこっちで解熱剤だけでも飲ましてあげて」

青「さんきゅ。ん…大丈夫？」

「ん…ｹﾞﾎｯ…」

黒「咳、だいぶつらそうだね」

青「んー…喉、弱いからな。…ん、いいよ。俺やってあげるから」

薬飲んで少し落ち着いてはきたけど、やっぱりちょっとグッタリしているA。

まだ熱は高くて、少しだけ震えている体。

それでも頭を撫でてやると、フニャッと強張っていた体の力が少しだけ抜けた気がする。

なんか…まだ俺が事務所入る前のスッゲェ小さかった頃にも、こんなことあったような気がするな、なんて。

黒「さすがに呼吸落ち着くまでは、ちょっと時間かかるかなぁ…」

青「なぁ、北斗。A、さっきああ言ってたけど…ほんとに俺らと、住むと思う…？」

黒「んー。どうかな？でも…いつだって、俺たちがAの避難所になれるなら、それはそれで、いいんじゃん？」

青「…まぁ、それもそうか」

黒「ドーンと、構えてようよ」

それはその昔、一度だけAが“アンチ”に遭遇した時に俺たちが伝えた言葉だった。

Aが誰をどんなに信じられなくなっても、俺たち2人だけは絶対に味方でいようって、そう決めたあの時から、気づけばもう5年の月日が経っていた。