無限の未来 4th season (ページ3)

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153話ページ3

【勇人】

ずっと胸の辺りを無意識にさすっていたAの反応が、徐々に薄くなっていった。

うわ言みたいに、ダルい、しんどい、気持ち悪い…ってずっと繰り返すみたく言ってたのも無くなった時には正直焦ったけど…。

どつやらそれは、体力が底を尽きただけみたいで。

Dr.「大丈夫、たぶん疲れて眠っちゃっただけだから。にしても、えらく不整脈が出てるなぁ…。今まで、ここまでひどく乱れること、なかったはずなんだけど…」

勇人「それって…治療、このまま続けられますか…？」

Dr.「んー…継続してあまりにひどいようなら、一回止めようかなとは思いますけど…。とりあえず、この薬に対するアレルギーとか、今すぐ使えなくなるって感じではないかな」

勇人「よかった…」

Dr.「ひとまず今回の分は投与できてるから…様子見ますか。ダメそうなら次回は別の薬にしてみます。ただ、ちょっとお薬弱くなっちゃうから、効果ってなると…また本人にも僕から話しますね」

勇人「ありがとうございます…」

Dr.「また何かあったら呼んでくださいね。あ…Aちゃん起きたら、その時は一回呼んでもらっていい？不整脈、前もこんな感じだったのか、聞きたいし」

隣で静かに眠るAは、時々顔をしかめたり、寝ていても違和感があるのか、すぐ胸に手がいく。

苦しそうに、四六時中寝ている時さえこんな風じゃ安らぐ時なんてないような妹の心が、ほんの少しでも和らげばと思って、痩せ細ったAの胸をそっと撫でる。

ゴツゴツと骨張った妹の胸。

必要以上に自分の手に伝わるその感触が、悲しくて…それに、ほんの少しだけ…憎くて。

勇人「普通って…なんなんやろな、A…」

小一時間もすれば、Aの目も覚めていた。

まだ違和感は続いているみたいだけど、だいぶマシにはなったらしい。

「勇人兄ちゃん…」

勇人「んー？」

「あんさ…。手、つないでもいい？」

“勇人兄ちゃんの手、おっきくて落ち着くねん…”なんて可愛いこと言ってるのに、恥ずかしいのか、そっぽを向きながらの妹。

ダルさも、吐くものがなくても続く吐き気も、まだ残ってはいるみたいだったけど、そんなんで少しでも落ち着くなら、手なんてずっと繋いでてやる。

明日には宮城へ発つ。

絶対に優勝して、また笑わせてやるからな。